八月のご挨拶 マントラとヤントラ またまた目からウロコ 久司典夫さんからのメッセージ



久司典夫さんからのメッセージ

以前に何回かご紹介した久司典夫さんから短いメッセージが届きました。大切な意味が込められていますので、翻訳してお伝えします。

久司典夫さんからのメッセージ

 7月27日に2回講演をした際に参加者からの貴重なフィードバックがあり、要点をメモしておいたものがあります。

 講演の中でよく私が皆様にお話しするのは思考の停止状態という体験です(訳注。すでにご紹介してあります)。しかしこれはそれほど重要なことではありません。長い講演の中で一番重要な点のみを絞ってお話ししますが、それは「幻想の自分」というものに気づくということです。講演の中でも述べましたが、「覚醒」とか「自分というものは実は存在しない」という気づきとかの話がもうあまり必要ないということなのです。何故かというと、人類はすでに各自が自覚しているといないとに関わらず、ある意味で「覚醒する段階に達している」からなのです。

 ただ、「ファントム・セルフ」というものに気づく為に役立ちそうないくつかの方法があると思いますので、それを少しお話ししましょう。

 ファントム・セルフが働いている状態を見つける方法のひとつは、自分自身にこう問いかけてみることです。

「私はたった今ここで何をしているのか。どういう経路でこういう状態に至ったのか」

 つまり、思い出せる限りの過去まで遡り、今自分がこうある状態に達するための曲がり角あるいは転機となった事件を思い出すことです。そうすることで今の状態に至った経緯がつかめます。

 過去に自分が演じてきたドラマを何一つ見逃さずに、それが全部ファントム・セルフの演じてきたドラマであると思って見るのです。そしてそれが今この瞬間の自分のこうあるという状態を造ったものなのです。

 ファントム・セルフの存在に気づくもうひとつの方法は、自分の人生で足りないものは何かを考えてみることです。あと何が加われば完璧になると思うかを考えてみてください。それは物質的なものですか。環境の良い高級住宅地に建っている理想的な家でしょうか。やりがいのある仕事でしょうか。それとも完璧な健康でしょうか。

 ふたつ目のやり方での自分への問いは、「誰がこのような欲求を感じているのだろうか」というものです。答は「ファントム・セルフ」です。つまり実際には存在しない幻想の自分です。これに気がつくとどうなるかというと、

 「すでに全てのものが完璧で自分に足りないものは何一つ無い。今までもずっと、そして今も完全に満ち足りていたのだ」と分かります。

 「何かが足りない」と感じているのはファントム・セルフなのです。それがファントム・セルフの働きです。

 もうひとつ方法があります。それは「怒りと苦しみ」を通して見る方法です。怒りと苦しみは、「こうであるべきものがそうではない」というジャッジメントの結果起きています。ジャッジメントが働くメカニズムは自分というものが他とは分離していて別のものだと観点から始まります。他とは別にある自分という幻想がジャッジしているのです。