エッセイ

Vol.09

今ここにすべてがある

今ここにすべてがある

「心ここに在らず」という言葉がありますね。はたして自分は一日の何時間をそんな状態で過ごしているか…ちょっと振り返ってみましょう。たぶん想像したよりずっと長く、「心ここに在らず」の状態になっていると思います。

 私たちの状態は、二つしかありません。『今ここに存在している』か『今ここに存在していない』かのどちらかです。

『今ここに存在している』とき、私たちは「感覚の世界」にいます。五感が感じるままの状態なので、思考は止まり、言葉は消えています。美味しいものを口に入れた瞬間や湯舟に体を沈めた瞬間、絶景を目にした瞬間がまさにソレ。その感覚以外、何も必要としない!それが至福≠ネんです。

 ところが、その感覚を「美味しい」「気持ちいい」といった言葉にしたとたん頭が働いて、「〜だから美味しいはずよね」「明日のことが気になるなぁ」などと考え始め、ずるずると嫌な記憶や心配事が心に浮かんで落ち着かなくなります。

 こうして私たちは、『今ここに存在していない』ときは「思考と感情の世界」に取り込まれて、今の自分に足りないものを考えてアタフタしてしまうんです。

 これらはすべてエゴの仕業です。エゴは「今ここ」には存在できません。だから、過去の後悔と未来の不安を振りかざして、今の自分に足りないものや今ここにないものを求めるように仕向けてくるんですね。「こうしたらもっと幸せになれる」というエゴの誘惑に心を奪われないで。

 そんな欲望を満たすことの外にある静寂と安らぎこそが無条件の幸せ≠ネのです。無条件の幸せのありかは「今ここ」、私たちが存在しているのも「今ここ」。無条件の幸せは、私たちの心身が目の前の事実と一つになったときに手に入るようになっています。

 目の前の事実とは……すべてのものが、それしかないという状態で、今ここにあるという事実です。たとえば、雲は、それしかないという形とタイミングで目の前に表れますね。あなたが雲を眺めて感覚だけになったときが、至福です。

 だからなるべく「心ここに在らず」にならないようにして、「今ここ」を感じる瞬間、心をカラにして感覚に身を任せる時間を少しでも長く持ちましょう。

 そのための具体的な方法を一つ紹介します。リラックスして目を閉じ、耳を澄ませます。最初は身の回りの音が聞こえてくるでしょう。人の話し声だったり、車の音だったり、エアコンの音だったりするかもしれません。

 さらに耳を澄ませて、生活音の先にある音を聴こうとしてみてください。もし、ブーンとかキーンという高周波の音が聴こえてきたら、頭で考えず、ただ耳に届くままにしておきます。宇宙の周波数に共振して心に静寂が訪れるでしょう。

 心身のバランスを取って元気に生きていくために、『今ここに存在する』ときは、ひたすら心をカラにする。考える必要のあるときは、集中して考える。そんなメリハリのある生活をしましょう。



ゆりりんのブログ『ありのまま、なるがまま』

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Last Updated: 2022/09/07