「自我に振り回されずにいられたらどんなにいいだろう…」と思う人は、ぜひ自分をほめてください。だってそれ以前は、自我に振り回されていることにさえ気づいていなかったでしょう? そして、悪いのは全部自分以外のことや人のせいにして胸を痛めていたのではありませんか?
自我は、「物事がスムーズに運ばない」「人間関係でイヤな思いをする」といった諸悪の根源ではありません。むしろ、自我の役割を理解していない張本人が苦しみを生んでいるんですよ。
私たちはみんな「幸せを感じたい!」と願って生きています。そのために目標を立ててがんばっています。けれど、幸せでありたい心を自我≠ノ明け渡してしまうから、どんなにがんばっても心は満たされず、永遠に幸せを追い続けることになるんですね。
そうならないように自我≠フ役割を理解しましょう。自我は「問題を探す」ことに燃えます。小さなことから大きなことまで、不安の種を見つけるのが仕事で、「このままじゃダメ!」「なんとかしなくちゃ」と焚きつけてきます。
それによるメリットは、自我に警戒心をあおられて危険から身を守ることができること。デメリットは、まだ起きてもいないことにおびえて緊張すること。たとえ問題の解決策を思いついても、「失敗したらどうする?」「人にどう思われるか?」とエンドレスに追及されて、考えがグルグル回っちゃうんですね。
私たちは頭の中で、無意識にこのグルグルを繰り返しています。あなたにも思い当たることがあったら、ここで振り返って大切なポイントに気づいてください。
自我が持ち出すのは、必ず「過去の後悔」や「未来の不安」です。自我は「今」には存在できないから。心が完全に「今」にあるとき、自我は消えています。
つまり、悩みや不安は、自我が脳内に作り出すドラマなのです。「悩みは幻想」と言われるゆえんはここにあります。私たちは自我が作り出す脳内ドラマにあたふたして、今目の前にいる人や、今自分ができることをないがしろにしてしまうんです。
もしあなたが、これ以上自我に振り回されたくないと思うなら、心が乱れたときはもちろんのこと、普段からなるべく「今」に心を置いて生きることを意識してみましょう。
自我が鳴りを潜めると、心は緊張から解き放たれて安らぎます。すると、「こうすればいい!」というひらめきを得ることがよくあります。また、自分自身への信頼や愛を取り戻すことができるのも、今に心からくつろいでいるときです。
結果、自然にスマイルが増えたり、潜在能力を発揮しやすくなるというメリットが高く評価されて、ビジネス界でもマインドフルネス瞑想を取り入れるところが多くなりました。
ステイホーム時間が増えて、瞑想に興味を持った人もきっといると思いますが、瞑想の目的はまさに「自我を手放す=今に100%くつろぐ」ことです。その要領を身につければ、一生の財産になるでしょう。