エッセイ

Vol.08

Vivaオリンピック観戦

Vol.08 Vivaオリンピック観戦

 アスリートとして生きることを選び、国の代表として国民の期待を背負って挑んだ選手たち。その気迫と妙技に圧倒されました。コロナ禍にある世界中の人たちに、どれほどの勇気と感動を与えてくれたことでしょう。選手全員に「ありがとう!お疲れさまでした」と伝えたい気持ちです。

 このスポーツの祭典が私たちの心に残したものは、ひとりひとり違うと思います。それを振り返ってみませんか? あなたの心にもっとも印象深く残っているのはどんなシーンでしょうか。

「何よりオリンピックが開催されてよかった」と目を潤ませた選手がいました。「調整がたいへんでした」と語った選手も、「1年延びたことで参加できました」と語った選手もいました。1年の延期が明暗の分かれ目になっていたんですね。

 これはアスリートだけでなく、誰にでも言えることだと思います。私たちは常に、目の前に起こった事象を受け入れて、変化に順応して生きていくしかないからです。

 そんな中で、自分の意志で変えられることには全力で励み、自分の意志で変えられないことは覚悟を決めて受け入れる。そして気力と体力を自分が喜ぶことに最大限使う。そのことがいかに大切で、また人としても美しいということを改めて感じました。

 勝負は、まさに目の前で起こります。選手が流す喜びの涙や悔し涙は、私たちが人生のアップダウンで流す涙に置き換えられると思いました。自分がどんな体験をしても、終わったことから謙虚に学び、力強く“新たな今”を生きていくとき、未来はふたたび輝きはじめるのです。

 私の心にもっとも強く残ったシーンは……陸上男子800mで、先頭集団にいた選手二人が転倒した場面。足がもつれて一人が転び、真後ろを走っていた選手が巻き込まれて、二人は集団から置いて行かれた。そのとき、巻き込まれた選手が立ち上がって、転んで呆然としている選手に手を差し伸べ、並走してゴールしたのです。微笑みを浮かべて手を差し伸べたんですよ。もう感動!

 自分だけ走り去ることもできたのに、彼はそのときの最高の自分を表現したんです。そこには怒りもなく、嘆きもなく、相手を許し、相手の無念に共鳴して「一緒に走り切ろう」という愛がありました。

 きっと彼は、自分が転倒した瞬間、起きたことをすべて受け入れたのでしょう。そして、ここまで来られたことに感謝するかのように微笑み、自分の意志でできることをしたのです。

 人は、土壇場になると生き様(意識の在りよう)が赤裸々に表れるといいます。私はあの選手の生き様に胸を打たれて、人間はなんと素敵な生きものだと嬉しくなりました。

 スポットライトの当たらなかったところにも、美しいドラマがいろいろあったに違いありません。それを分かち合うのも楽しいですね。オリンピックは閉幕しましたが、アスリートたち、周りで支えた人たち、素晴らしい時間を本当にありがとう!



ゆりりんのブログ『ありのまま、なるがまま』

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Last Updated: 2021/08/07