“怒る”という行為は気分が悪いものです。それがわかっていても、カッとして人に食って掛かったり、イライラして不機嫌になったり……そんな自分にうんざりすることもあるでしょう。怒りという感情と上手に付き合いたいですね。
怒りを溜め込まないように適度に発散して精神のバランスを取ることは大事ですが、なぜ心に怒りがわくのかを理解しないまま他事で気分を紛わせても、根本的にはラクにならないと思います。
”怒りのメカニズム”を知って、怒りをマネージメントできるようになりましょう。心に怒りがわくのはどんなときでしょうか? それは「自分の価値が脅かされた」と胸の奥で感じたときです。実はそのくらい誰もが自分のことを大切に思っているんですね。
正確には、「人が私の価値を脅かすようなことをした」と判断すると怒りがわき、その判断は正しいという気持ちで相手を責めます。しかし、どっちが正しいかは立場によって変わるものですし、人をジャッジする先に解決の道はありません。
怒りをマネージメントする賢い方法は、「私の価値が脅かされた」と判断することそのものを『やめる』ことなのです。例を挙げましょう。
@ 人に無視されて怒りがわいたときは、深層で「自分は無視されるような価値のない人間」と判断したせいです。無視した相手が正しいか否かに関係なく、その判断をやめましょう!
A 店員に感じ悪くされて怒ったときは、「自分は店員から感じよくされる価値のある人間ではない」と判断したせいです。店員はどうあるべきかということとは関係なく、その判断をやめましょう!
B 友だちに嘘をつかれて怒りがわいたときは、「自分は友だちに嘘をつかれるほど価値のない人間」と判断したせいです。嘘をつく人のことを悪者呼ばわりする前に、その判断をやめましょう!
C 何をやってもついてなくて怒りがわいたときは、「自分は天に応援されるほど価値のある人間ではない」と判断したせいです。天は不公平だと文句を言う前に、その判断をやめましょう!
もし、生々しく思い出す頭に来た場面があったら、胸の奥をのぞいてみてください。底のほうに「自分の価値が脅かされた」ことへの怒りがくすぶっていませんか?
解決する方法は『自分の価値が脅かされたと判断することをやめる』と書きました。つまり、自分への信頼を取り戻すことが何よりも大切なんです。怒りがわいたときはもちろんですが、普段から、自分にこんな言葉を投げかけるようにしてみましょう。
『私の価値は、決して人に脅かされるようなものではありません。私の価値は、崇高で神聖なものです』
私たちのすることは、唯一、この言葉を信じることだけなんですね。そうすれば、人のどんな態度を見ても「あなたの自由を認めます」という気持ちにきっとなれるから。そして、相手の価値も同様に尊重できるようになるでしょう。