エッセイ

Vol.03

愛しそこなっていませんか?

Vol.03 愛しそこなっていませんか?

 みんなで撮った集合写真を手にしたときに、あなたがまっさきに見るのはだれですか? 間違いなく自分ですよね。大勢の中から自分を見つけてまず映り具合をチェックするくらい、人間は自分のことが気になって仕方のない生きものなのです。

 朝から晩まで自分のことを考えてうまくいくことを願っている、それほど大好きな自分のはずなのに、実際はけっこう自分に冷たい人が多いのはどうしてでしょうか。

 私も以前は、できたことよりできないことばかりに目がいって、「まだ足りない!」「これじゃ全然ダメ!」とずいぶん自分をいじめたものです。ありのままの自分を認めることができなかったのは、劣等感のかたまりだったから。

 当時は、「劣等感自体、無用なもの!」という発想がなかったので、劣等感を感じなくなるまでもっとがんばって、自分を優秀な別人に仕立てなくてはいけないと思い込んでいたんですね。だから苦しくて、つらくて、いつも人の評価におびえていました。

 たぶん私の魂は、自己否定して心の針が振り切るまで苦しめば、そこで自我が崩壊して、振り切った針の対極にあるものに気づくだろう……と計画したんだと思います。

 とうとう耐え切れなくなって腑抜けのようになり、自我が壊れたとき、「こんな私にもかかわらず、宇宙は私をとても愛してくれている」と胸が痛くなるほど感じました。

 対極に愛≠見たとき、だれもがみんな、愛から生まれ、愛を忘れ、ふたたび愛に帰る旅をしているのだ、ということが感覚でわかりました。愛を忘れ…とは、自分が宇宙から愛されていることも、自分が自分を愛することも、両方とも忘れている期間です。

 この間は恐れ≠ノ心を支配されて、「○○になったら恐ろしいから○○しよう」と考えて動くから、しょっちゅう葛藤を起こします。そのときはみんな、悔しくて眠れない夜や、もう消えてしまいたい気持ちを体験するでしょう。

 でも、このことはぜひ覚えておいてください。私たちは「自分を愛しそこなう体験」をしてから「自分を愛する体験」をします。自分を愛しそこなうと、不安に苛まれて、あせったり、悔んだり、責めたり、恨んだりと、ネガティブな感情をなめ尽くしますが、その体験は必要不可欠なんですね。

 もし今、あなたがそんな体験のさなかにいるとしたら、心が折れそうになっている自分に「大丈夫、大丈夫」「これですんでよかったね」「この痛みが次のステージに押し上げてくれるよ」と伝えてあげて。

 アメリカの心理学者、バーバラ・アンジェリスは、『愛することで失うものはひとつもない。何かを失うのは、つねに愛さないことによってである』と明言しています。この言葉は、愛に目覚めたらきっと得心するはず。

 宇宙はひとりひとりの自由意志を尊重します。この瞬間も、自分を愛するか、愛しそこなうかを決めているのは、あなた自身なのです。あなたに意志があるのは、最終的に自分を無条件で愛することを選ぶため。そしてその喜びの体験を、ほかの人を愛する体験につなげていくためなのです。



ゆりりんのブログ『ありのまま、なるがまま』

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Last Updated: 2021/03/15