数年前、電通が”人生の幸福感”に関する調査を行いました。「あなたが100歳まで生きるとしたら、もっとも幸せなのは何歳のときか?」というもの。もし自分の年齢より高い数字を言えば、「未来にもっといい時期がやってくる」と考えていることになり、年齢より小さい数を言えば、「過去のほうがよかった」と感じていることになります。
あなたは、もし自分が100歳まで生きるとしたら、もっとも幸せなときは何歳と答えますか? なんとなく思いついた年齢でOK。自分の深層心理を探ってみましょう。
調査の結果は、年齢が若い人ほど「もっともいいときは未来」、つまりこれから先のどこかに一番いいときがやってくると期待していることがわかり、年齢が高くなるにつれて「もっともいいときは過去」と思っていることがわかりました。
一番だとする過去と未来が交差する年齢は40歳。もしかしたら、人間は40歳を超えるころから、未来に対する希望を持たなくなるというか、持てなくなるのかもしれませんね。あなたは何歳と答えましたか?あなたにとって希望とはなんでしょうか?
この結果から、私は、若いうちは「これから自分が手にできそうなもの」を見て生きられるから希望を抱くことができるのだろう。けれども、40歳を過ぎるころから「つい、人生で失ったものや二度と得られないもの」に目が向くようになって、将来に希望を抱きにくくなるんだろうナ、と感じました。
いくつになっても、物理的なモノや目に見える現象に”幸せ”を求めれば、しだいに希望を失っていくのは当然のことです。私にも覚えがありますが、自らの衰えと戦い、人生でやりそこねたことを悔やみ、老いていくことに不安を抱き、もう無理なんだ…と半ばあきらめの境地で、どうして幸せに生きられるでしょうか。
若いときは、自分の死にリアリティがない分、ずっと生きられる気でいるのでやたらと悩みますが、もしもじきにこの世を去ることを実感すれば、悩んでいるヒマはなくなるはず。きっと、今ある時間をもっと丁寧に生きられるでしょうね。
その観点からも、年齢とともに幸せの中身を整えて変化させていくことは、とても大切だと痛感します。それぞれの人生は体験の宝庫。年齢はその人の年輪です。顏に表れたシワの数だけ、宝のような体験が魂に刻まれている、と考えてみてください。
あなたの人生は、もともとはあなたの魂が「これらの体験を通して進化しよう」と計画してきたものだから、人と比べるのはナンセンスだし、世間的に正しいか正しくないかも意味をなしません。
あなたが「いろいろな気づきを得た」「人生はおもしろい」「自分なりによくがんばった(がんばっている)」とマルをつければ、その時点で完成なんです。
すると、自分が人間として誕生する機会を得たことや、さまざまな体験ができた(今もしている)ことに、自然と感謝の念がわきますよ。そして、人生で初めて体験する”今の年齢の自分”を有意義に生きようと改めて思うでしょう。
そう思って今というときを生きられることが、”幸せ”なのです。