エッセイ

Vol.08

自尊の気持ちをしっかりと

Vol.08 自尊の気持ちをしっかりと

 心理学では、『人は、人を責めているときは、もれなく自分を責めている』と言われます。・・・今この一文を読んで、ドキッとしませんでしたか?

 私は思わず「あぁ」とため息が出ました。人といて自分が不本意な目に遭うと、つい自己防衛したい気持ちが先に立って、「あなたが○○したから」「あなたがそう言ったのよ」などと相手を責めてしまうことってありませんか?

 そんな言葉を口にしたあとで「言わなきゃよかった…」と悔むこともあるでしょう。特に、自分が言った言葉で相手がしょんぼりしたときや怒り出したときはそうですよね。そんな経験をしたあなたは、人を責めても心はラクにならないことにすでに気づいているかもしれません。

 人を責めても心がラクにならないのは、『もれなく自分を責めている』からだと心理学では分析します。たとえば、本当は気が進まなかったのに人の意見にしたがったとき、うまくいかないと「なぜ自分の気持ちを正直に言わなかったのか」「どうしていつも人の意見に流されるのか」と心のうちで自分を責める人がとても多いんです。

 それは反省ではなく”攻撃”です。自責の念は、自分に一番やさしくない行為。攻撃すれば、心は痛んで孤立します。私自身の体験を振り返ってみても、自分を責めていいことは何もないとつくづく感じます。私たちは、自他を責めているあいだは、過ぎたことに心をとらわれて前に進むことができないから苦しいんですね。

 前に進むために必要なのは”自尊の気持ち”です。それは、どんな目に遭っても自分を卑下しないで敬う心。不甲斐ない体験も、未熟な自分も、「それが今の私」と受け容れる広い心。そんな自尊の気持ちをぜひ養いましょう!

「自分を責めても仕方がないと頭ではわかっているけど…」いう声が聞こえてきそうですが、あなたは「でも、こんな自分じゃ」と思っていますか? 私も以前はそう思っていました。ただ、「エゴの塊が自分ではない」という真実に目覚めたときから「大いなる自己としての自分」を意識するようになり、「こんな自分」が「敬うべき存在」に変わりました。

 私たちの人生に生じる出来事は、だれのせいでもなく、大地に雨が降ったり風が吹いたりするのと同じように、ひとりひとりに必要な体験が、必要なときにやってくるようになっています。もっと言うと、それらは自分が青写真に描いてきたことなんですね。

 だからこそ、遭遇する出来事(=止まらない変化)を、その人生を生きる自分がどう解釈するかがもっとも重要なことなのです。解釈しだいで次の選択が決まるから。

 人生は選択の連続って言うでしょう? やることなすこと思うこと、選択によって人生をどの方向にも導くことができる。それが私たち全員に与えられている「自由」なのです。

 そんな素敵な自由を、あなた自身が望むように使いましょう。自分はダメだと思うことを選択してダメな体験を味わうのも、自尊の気持ちを選択して、受容するという愛の体験を味わうのも自由です。さあ、あなたは何を選んでどんな人生を楽しみますか?

ゆりりんのブログ『ありのまま、なるがまま』

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Last Updated: 2018/08/07