エッセイ
  (更新日:毎月7日)

Vol.08
変わり続けることを楽しんで

Vol.08 変わり続けることを楽しんで

 母の最期を看取り、生きるとは、そして死とは、どういうことかを肌で感じました。私たちの命は、変わり続けることで生き続けるのです。生きるとは、変わり続ける自分を体験することだと思いました。

 私たちは生きているあいだに、家族、恋人、友人、仕事仲間など、さまざまな人間関係を通して、傷ついたり感動したりしながらありとあらゆる感情を味わいます。そのうち、いい体験だけを求めるようになり、悪い体験を恐れて心を不安でいっぱいにして生きていくようになってしまうんですね。

 あなたの中にも、「いやなことは変わってほしいけれど、そうでないことはこのままがいい」という気持ち、つまり、人間関係や環境が変わり続けることを全面的に受け入れたくないという思いがありませんか?

 もしかしたらそのせいで、不満を言いながらも生活態度や人間関係を変えようとしなかったり、新たなチャレンジを避けようとしたり、予想外のことに出会うと「私はどうなるの?」と心配でたまらなくなるのかもしれません。

 あなたがどんなに変わらないことを願っても、すべての物事は必ず変化していきます。今ある仕事がずっと続く、同じ人間関係がずっと続く、親がずっと元気でいる、自分はずっと若いまま……ということはあり得ないのです。それに抵抗すると、心が疲れますよ。

 すべての命は、変わり続けることで新たな自分を創り続けます。ようするに、命はいろいろな自分を体験したがっているんですね。だからまず、身に降りかかったことに抵抗せず、それで自分はどう変わるかに興味を持って進もう!と心に決めてください。

 人生に降りやまない雨はないように、止まらない涙や悲しみも、また色あせない情熱や喜びもありません。いつまでも「いい/悪い」にこだわって苦悩しないよう、ひとつの体験にとらわれないことがとても大切です。

 お釈迦さまが説かれた苦しみから逃れる方法は、「執着を捨てよ」でした。私たちはつい、いい体験をした記憶に執着して、今あるものを失うことに抵抗しがちですが、これが苦しみを生む原因なのです。

 過ぎたことには執着せず、変わり続ける自分を快く受け入れましょう。たとえ災難に巻き込まれ右往左往しても、人からひどいことを言われて傷ついても、それは自分が変わるために用意された出来事と考え、その体験を尊重して“意識を変える踏み台”にするのです。

 そうやって自分の意識がどんどん高まっていくと、自分の成長を実感できることほどうれしいことはないとわかって、人生でめぐり会うすべての物事に「ありがたいなぁ」と思う気持ちが芽生えてきます。

 思わず知らず感謝がこみ上げる体験は、快感です。その快感は、変わり続ける自分を受け入れたご褒美なんですよ。それをたくさん味わって幸せに生きていきましょう。

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Last Updated: 2017/08/07