エッセイ
  (更新日:毎月7日)

Vol.09
"気づき"に秘められた力

Vol.09

 自分が軽率なことをしたり、余計なことを言ったとき、「どうしてあんなことを……」と後悔することってありますよね。できることなら時計を逆回ししたいけれど、もう遅いという場合、あなたは心の中でどんなことをしますか?

@ 悔んで自分を責める。――「私ってどうしてこうダメなんだろう」
A 同じことをしないように反省する。――「どうすれば次はうまくやれるか」
B 体験から学べることを懸命に探す。――「何か大切な気づきがあるはず」

 私もそうでしたが、「失敗はよくない」という価値観が染みついていると、つい自分を責めがちです。けれど、自責の念ほど後ろ向きで心を痛めつけるものはありません。「悔んで自分を責める」という癖のある人は、意識して改めましょう。

「同じことをしないように反省する」は、多くの人がやっていることだと思います。うまくいかなかった原因を追究して改善に努め、子どもも大人も、失敗しないためのノウハウを身につけていきます。この努力が、成長には欠かせないとされていますよね。

 私も長年、「反省は不可欠。うまくいかなかったときは謙虚に反省すべし」と思って生きてきましたが、ここへきて、「違う。反省よりも"大切な気づきを得ること"のほうが有意義だ。それを優先しよう」と考えるようになりました。

 今では「体験から学べることを懸命に探す」ことに専念して、あえて反省しません。大切な気づきを得れば、それに即して自然に改善するようになるので、険しい表情で「反省すべき!」と自分に迫らなくてもよくなったのです。

 あなたが反省するときはどんな気持ちですか? 元気や笑顔はありますか? 私は反省しながらよく落ち込みました。なぜなら「私はまだまだだ」という視点でダメ出しするから。「足りてない」と思って努力目標を立てるのは、本当はキツイことでした。

 そうした悲壮感がまったくないのが"気づき"を得ることなんです。大切なことにハッと気づくと笑顔がこぼれます。「そうすればいいんだ!」とひらめくと心が弾みます。それを行動に移すときには、努力という重さはなく、軽快な気分です。

 例をあげましょう。自分がよかれと思ってしたことを、相手から「余計なお世話!」と跳ね返されたとします。そこで「次はお伺いを立ててからやろう」と反省するのはいいんですが、これだと"よかれと思ってやった自分"は否定されたままです。自分を否定すれば自信はそがれます。

 そうではなく、よかれと思ってやった自分を、まず自分が肯定しましょう。そのうえで学べることを懸命に探せば、「余裕のない相手を許せばいい」と気づけたり、あるいは自分が"勝手な期待"や"好意は素直に受けるべきという概念"を持っていたことに気づけるかもしれません。

 そこにあるのは「これで成長できる!」という喜び。だから、気づけたことに感謝して笑顔で前に進めるんですね。「反省も笑顔でしちゃう」という人はそのままでOKですが、そうでない人は、体験から学べることを探してにっこり微笑みましょう。

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Last Updated: 2016/09/07