エッセイ
  (更新日:毎月7日)

Vol.08
幸せを感じるために…

Vol.08 幸せを感じるために…

 あなたはどんなときに幸せを感じますか? 幸せの中身は十人十色でも、私たちが幸せを感じるためにしていることは共通しています。それは、「最初に不幸を見つける」ことなんです。

 なぜなら、幸せを感じる(満足する)のは、それにまつわる不幸感(不満)から解放されたときだから。つまり私たち人間には、幸せを感じたい(満足したい)がために、最初に不幸を見つけて不満をかみしめようとする習性があるのです。

 そこで、幸せを感じるときを改めて思い浮かべてみると……空腹感から解放されたとき、寝不足を解消できたとき、孤独感から抜け出したとき、恋人ができたとき、まわりから評価されたとき、努力が報われたとき、夢が叶ったときなど、どれも満たされない思いを味わったあとだからこそ、感じることができた幸せだと気づきませんか?

 あなたが「自分にとって不幸感(不満)は、必要悪なのかもしれない」ということを理解したなら、たとえ身近に不満を見つけても、愚痴を並べ立てたり、イラついて人に当たったりせず、落ち着いて対処できるようになると思います。

 そう言うと、空腹感は「これこそが最高の調味料」と認めることができても、すべての不幸感を「幸せを感じるための必須アイテム」と認めて受け入れるなんてできない、と反発したくなるかもしれませんね。

 では、自分の人生が幸せ一色になればいいと願っている人は、ちょっと想像してみて。もしも人生が幸せだけになったら、あなたは「ああ、幸せ!」と感じ続けることができますか? はじめのうちはできても、継続は無理だと思います。幸せが普通になれば、幸せの実感はしだいに薄れ去っていくものだからです。

『禍福は糾える縄の如し』(かふくはあざなえるなわのごとし)―― 幸と不幸は縄をより合わせたように表裏をなす、ということわざがあります。人間は、幸と不幸を交互にかみしめることで、人生の成り立ちや意味を理解していくようになっているのです。

 恋をしなければ失恋もしないし、結婚しなければ離婚もしないし、就職しなければリストラされることもありませんが、失恋や離婚やリストラされる体験は、不幸せに尽きるでしょうか? 違いますよね。人生はそのあとも続くからです。

 つらい体験を乗り越えて自分が成長すれば、今度は成長した自分に見合った幸せを実感できるようになるのです。それが人生の醍醐味ではないでしょうか。

 あなたはどんなに平和に暮らしていても、これからも「ここが気に入らない」「もっと○○がほしい」と個人的な不満を探して、それを満たすことで"幸せの実感"を得ようとするでしょう。

 だったら悲喜こもごもの体験を、いっそ「すべてよし」と受け入れてもっとおもしろがりましょう。不満を探し続ける自分を、「またやってる」と笑って許して丸ごと愛しましょう。

 すると不満が、幸せな人生を築きあげる起爆剤に変わるから。そうやって「幸せ〜〜」と悦に入る時間を増やして、楽しく生きていきましょう!

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Last Updated: 2016/08/07