人から嫌な言葉を言われて傷ついたことがある人はとても多い……というより、人の言葉に傷ついたことがない人なんていないのではないでしょうか。私の場合、そのとき何が一番こたえたかというと、「言われた言葉がいつまでも頭から離れない」ことでした。
あなたも身に覚えがありませんか？ 嫌な言葉を言われたのはたったの1回なのに、それを何回も何回も頭の中でくり返して、何百回も言われたような気分になったこと。そして、余計に落ち込んだり、無性に腹が立ったこと。
私たちは自分が気にしている欠点をとがめられたり、発言や外観を露骨にバカにされると、それを言い放ったときの相手の表情まで脳裏に焼き付いて、夜も眠れないほど悔しい思いをすることがあります。
これは家庭内の口喧嘩でもよく見られること。ストレートに嫌なことを言われてその言葉が頭から離れず、家族の前でずっと不機嫌な態度を取ってしまったとか、逆に、家族からそんな態度を取られたことがあるという人は、きっと大勢いるでしょう。
私は以前、「自分勝手！」「自分を正当化してるだけじゃない」「八方美人！」「ちょっとおかしいんじゃないの？」などと言われて、ものすごく傷ついた覚えがあります。でも、今になって振り返れば、そのことを根に持って過剰反応していたんですね。
頭の中で嫌な言葉を何回もくり返すとどうなるかというと、相手の立場や気持ちを察する心の余裕がなくなって、自分の痛みしか感じられなくなってしまうんです。その上、どっぷりとネガティブな感情に浸るのでエネルギーも失っていきます。
もし、あなたが「この言葉だけはどうしても聞き流せない！」と頭にきたときは、なぜあんなことを言われたのか、相手に真意を確かめてみるのもひとつの方法です。が、そこで相手に「文句を言ってきた」と思われないよう、しっかり頭を冷やしてから言葉を選んで尋ねましょう。
ちょっと勇気がいるかもしれないけれど、忘れてしまうことができない以上は、その言葉を何百回もくり返してウツウツとするよりずっとマシです。あなたが歩み寄ったことで話し合えれば、誤解は解消できるし、必ず何らかの〝気づき〟を得られるから。
もしかしたら心は、傷つく体験をバネにして成長するようになっているのかもしれません。だとすれば、自分が不快な言葉を浴びせられたとしても、「その人を自分はどう解釈して、ムカつく体験から何を学ぶのかを問われている」と考えられないでしょうか。
私はそう考えるようになってから、嫌なことを言われても過剰反応しなくなりました。心を痛めつける時間は短いほうがいいし、「嫌な体験」を「ありがたい体験」に変えるには、一刻も早くその体験から学び終えるに限るからです。
私はいつも自分にこう言い聞かせています。「1回言われただけの言葉を何百回もくり返して、心の迷路にはまらない！」。あなたもぜひ肝に銘じておいてくださいね。これを忘れないように気をつければ、いやな感情を引きずって苦しむことが激減しますよ。
