1929年2月11日、エジソンが82歳の誕生日を迎えた日に残した名言は、世界中の人たちに支持されて、それから80年あまりが過ぎた現代も大切に語り継がれています。その言葉は、『天才とは、1%のひらめきと99%の努力の賜物である』
あなたはこの言葉をどのように解釈していますか? おそらく多くの日本人は、「あの発明王、エジソンでさえ99%の努力がいると言っている。ひらめきなんてたったの1%だ。一番大事なものはやはり努力なのだ」と受け止めているのではないでしょうか。
それはそれで夢に向かってがんばっている人たちを激励し、勇気づけているという功績はあったと思います。しかし実は、この言葉ほど人々に間違って解釈されて、エジソンの意図が伝わらなかったものはないんですよ。
エジソンは独特の世界観を持っていました。自然界に生きるものはすべて、人智を超えた大いなる存在によって生かされていると考えていたようです。自分の発明についても、原動力は、大いなる存在から与えられたひらめき≠ネのだと。
彼はこう語っていました。「人間や自然界のすべての現象は、われわれの思いもよらぬはるかに大きな未知の知性≠ノよって運命づけられている気がしてなりません。私自身も、その未知の知性によって動かされ、数多くの発明を成し遂げることができたのです」
そして、はるかに大きな未知の知性≠フことを「リトル・ピープル・イン・マイ・ブレイン=頭のなかに住んでいる小人」と呼び、そのリトル・ピープルの声を聞くこと、つまり、「1%のひらめきを得ること」が発想の源であって、それが何よりも大切なのだと強調しました。
にもかかわらず、かの名言はひとり歩きをはじめてしまったのです。自分の言葉が誤解されて人々に伝わってしまったことを知ったエジソンは、「最初のひらめきがすばらしいものでなければ、いくら努力しても無駄である。よいひらめきを得るためにこそ、努力はするべきなのだ。そのことをわかっていない人があまりにも多い」となげいたと言います。
さて、私たちに残された問題は、「1%のひらめきを得るために、99%の努力をどのようにすればいいか」ということですよね。答えは、ひらめきをキャッチする受信機の感度を上げること。平たく言うと、心をピュアにする努力です。
最初に、受信の妨げになるほこりを落としましょう。ほこりとは、頭にこびりついた常識や既成概念や人の意見です。それをきれいさっぱり払いのけること。
次に、ひらめきを受信できることを信じましょう。自分が「大いなる存在=大きな未知の知性」によって生かされていることを信頼する気持ちが大事です。心に、疑念や過剰な期待を持ち込まないこと。
すると、今のあなたに必要なことを、ひらめきという形で受け取れるようになります。こうすれば自分らしく生きられる、こうすればもっと自他を愛せる……など、幸せに生きるヒントを得られるでしょう。