エッセイ
  (更新日:毎月7日)

Vol.06
「自分はこんな人!?」

Vol.06 「自分はこんな人!?」

 あなたは自分をどんな人間だと思っていますか? そう思うようになったのは、いつごろからでしょうか? で……、それって真実ですか???

 あなただけでなく、私たちはみんな「自分はこんな人」という思い込みを持っています。それを自己概念≠ニ言います。そして無意識に、自己概念から外れる考え方や行動をしないようにさまざまなことを禁止しているんですね。

 その禁止令は、仕事、人間関係、お金の使い方、時間の使い方など、すべてのジャンルに出されます。たとえば「自分はまじめで几帳面」という概念がある人は、どんなに疲労していても、「ふまじめでだらしなく見える」態度は決して取らないでしょう。

 これは、自己概念がいいか悪いかという問題ではありません。もしあなたが、自己概念に心が縛られていることを知らないと、本当は息苦しかったり、狭苦しい世界を飛び出したいと思ってもがまんしてしまう……、そのことが問題なのです。

 自己概念を植えつけたり、また強化するのは、自分以外の人の期待なんですね。私たちは無意識にまわりの期待に応えようとします。一例をあげると、「あなたはしっかり者で、つらくても弱音を吐かないわよね」と期待されていると感じると、その期待を裏切らないように、どんなにキツくても歯を食いしばってがんばるようになります。

 けれど、そんな調子でがんばっていれば、疲れるのは当たり前。身に覚えのある人は、弱音を吐けなくてヒーヒー言っている自分に気づいてあげて。まわりが期待するあなた像≠あなたの役割≠ニして引き受けることはありません。そんなの重荷と思ったら、まっ先に「人の期待に応える」という自己概念をかなぐり捨てましょう。

 この例は私の体験談です。親やまわりから「あなたはしっかり者で弱音を吐かない」と期待され、自分でもそう思い込んでいたのですが、心が擦り切れると「正直に弱音を吐いたっていいのに」「しっかり者を演じなくてもいいのに」とよく思いました。

 それでも、まわりの期待を裏切ってがっかりされることが恐ろしくて、「このままがんばり続ければうまくいく」と錯覚したのです。錯覚というのは、ありのままの自分を見せたらうまくいかなくなると勘違いしたという意味です。

 あなたが背負っている自己概念は、本当はいつでも下ろせるんですよ。それが前向きに進む力になるうちは持ったまま進めばいいし、そうでなくなったら下ろして身軽になりましょう。禁止令を解いて別の顔を見せることに、はじめ違和感≠覚えるかもしれませんが、違和感があるのは脱皮しつつある証拠。

 休むこと、弱音をぶちまけること、わがままをいうことなど――「私らしくない」と頭が判断しても、心がやりたいと思ったことは、ぜひやりましょう。禁止していた行動が、「ありのままの自分を表現する」という新たな喜びをきっと体験させてくれるでしょう。その喜びこそが、真実のあなたを生きるのに必要なパートナーなのです。

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Last Updated: 2015/06/07