エッセイ
  (更新日:毎月7日)

Vol.06
「だれよりも幸せになっていい」

Vol.06 「だれよりも幸せになっていい」

 自分の胸に聞いてみて。「私はダメ人間だから人より幸せになれない。私には愛される価値なんてないんだ……」という気持ちがほんの少しでもありませんか? もしあったら、本当はもっと幸せになれるのに、そのせいで心に無意識のブレーキ≠かけているかもしれません。

 たとえば好きな人と相思相愛になれたときに、自分から相手が離れていくように仕向けたり……、「そんなバカな!」と思うでしょう? けれど、心の深い部分で自分は愛される価値がないと信じ込むと、幸せになることをあきらめてしまう場合があるんです。

 多くは、親から「○○ちゃんはよくできるのに、あなたは本当にダメね」とたえず兄弟姉妹で比較されて大きくなった人。知らないうちに親を失望させたという罪悪感を抱き、「人より幸せになってはいけない」と制裁を与えてしまうんですね。

 でも本人は、そんなことをしているとは夢にも思わず、どうして幸せが素通りするのかわからずに苦しみます。もしもあなたが「そういえば親からしょっちゅう否定されて、欠点ばかり責められていたな」と思い当たったら、その古傷が「自分には愛される価値がない」という気持ちを生んでないか自分の胸に聞いてみてください。

 そして「愛される価値がない」という誤解を早々に解きましょう。あなたは最初から価値ある存在として生まれたのです。優劣をつけるなんてとんでもない完璧な価値≠ナす。それは「ほかの人を助けられる」というすばらしい価値。それを生かして「ほかの人を幸せにする」ことが、私たちが人として生まれた真の目的なのです。

 だから、あなたはだれよりも幸せになっていいし、また幸せでいる必要があると思いませんか? そうでないと、ほかの人に貢献する心の余裕がなくなってしまうから。そうはいっても、あなたの目の前で大切な人が落ち込んでいたらどうしますか? いつも隣にいる人が泣いていたら自分だけいい気分でいられますか? 

 じつはここに、私たちがほかの人と一緒に幸せになれるヒントがあります。それは、あなた自身が人から与えられたいと思っている"誠意"や"やさしさ"を、先にほかの人に与えること。自分のことでいっぱいいっぱいで本当はそんな余裕はないと思っても、とにかく一生懸命やり続けるのです。すると不思議なことが起こりますよ。

 私たちは一生を通して『自分が与えたものを自分が受け取る』ようになっています。これは宇宙の大原則、仏教では『因果応報』と言います。人生は、よくても悪くても自分が人に与えたものが、忘れたころに別の形で自分に返ってくるのです。

 あなたがほしい「誠意」や「やさしさ」を、まっ先に人に差し出す生き方。それを実行しましょう。人に物をあげるときは、真心を込めることを忘れないで。接客業が仕事なら、最高のやさしさを込めて。そんなふうにして人々と触れ合っていくと、心がどんどん豊かになっていきます。

 すると、今は自分のことをダメ人間と思っていても、必ず「自分の存在価値をかみしめる」ようなあまたの返礼を、まわりから受け取れるようになっていきますよ。

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Last Updated: 2014/06/07