エッセイ
  (更新日:毎月7日)

Vol.02
自分のまわりを照らそう

Vol.02 自分のまわりを照らそう

 日本の若者が世界のひのき舞台に……そんなうれしいニュースが増えましたね。ローザンヌ国際バレエコンクールで優勝した二山君をはじめ、元野球少年は大リーガーに、元サッカー少年はセリエAに昇格。ソチ五輪でも年若い選手たちが注目を集めています。

 みんな、幼いころからの夢を叶えた人たち。ほかの子どもらと同じように遊びたいときもあったでしょうに、世界で活躍する自分の姿を夢に見て、どんなにつらいときもあきらめないで練習を続けてきたのです。

 それは本当に立派だと思います。私たちはその勇姿に感動して多くの勇気をもらいます。テレビを見ながら「私にもあこがれた世界があったなぁ」とか、「才能はあったかもしれないが、根性がなかった」とか、「うらやましい、私は何も秀でたものがなかった」と自分の人生を振り返る人もいることでしょう。

 今、日本には、世界で活躍するひと握りの若者と、彼らを応援する大勢の若者がいます。両者の違いは、それぞれが選んだ道です。生まれ持った才能に差はあっても、人間としての優劣や違いがあるわけではありません。

 晴れの舞台に立った人たちにとって、一生懸命応援してくれる人たちの声援は欠かせないものなのです。私たちが暮らすこの世界は、そうやってひとりひとりができることをして、お互いを支え合うことで成り立っているんですね。

 なぜそんなことを書くのかというと、気がかりなデータを目にしたからです。日本の高校生に「自分はダメな人間だと思うことがあるか」と質問したところ、「当てはまる」と答えた子の割合は……? あなたは全体の何%くらいだと思いますか?

 国別調査の結果、日本83.7%、アメリカ52.8%、中国39.2%、韓国31.9%で、日本の若者の自己肯定感の低さが浮き彫りになりました。(2012年、日本青少年研究所調べ)

 平成という、自分の好きな道を選べる時代に生まれ、日本という、高度な教育を受けられる環境に育ちながら、「自分には価値がない」と十代で感じているのはじつに残念です。もしかしたら彼らは、「ほかの人より優秀で、一番も狙えるのが価値ある人間」と勘違いしているのではないでしょうか。

 もし、あなたが競争社会で敗北感や劣等感を味わって自分の価値を見出せなくなっているとしたら、それは大きな誤解です。この世に価値のない人間なんてひとりもいませんよ。価値がないならわざわざ生まれてこないでしょう。

 だれもが、この世でやるべきことを自分で計画して生まれてきたのだと思います。その計画を自覚すれば、存在価値を十二分に感じられるようになっているのです。自分がやるべきことは、自分にあるものを生かして人を幸せにする行動の中に必ずあります。

 それが、日本代表として世界に挑むことだったり、何かの専門家になって貢献することだったり、家庭に入って家族を助けることだったり、やさしい言葉でまわりの人をなごませることだったりするんですね。もちろん、あなたの舞台もちゃんと用意されています。

 自分の舞台を見つけて光り輝けば、それが世の中のためになるのです。『一隅を照らす』という言葉が私は好きなのですが、自分のまわりを照らしながら胸を張って堂々と生きていきましょう。

エッセイバックナンバー


| ホーム | プロフィール | エッセイ | ねっとカウンセリング | みんなの広場 |
| Booksコーナー | 講演依頼 | お知らせコーナー | ボイス・レター |

Last Updated: 2014/02/07