エッセイ
  (更新日:毎月7日)

Vol.06
自分はどうありたいか

Vol.06 自分はどうありたいか

 あなたのお父さん、お母さんは、家族の前でどのくらい本音をぶちまける人でしたか? 他の人の前ではどうだってしょう? そんなことをちょっと振り返って、自分がどれくらい影響を受けてきたかを考えてみましょう。

 普通、子どもは親を手本にして大きくなります。親が当たり前のようにしていたことは、子どもにとっても当たり前のこととして受け継がれるもの。たとえば、朝と就寝前に挨拶を交わすといったいい習慣から、テレビを見ながら食事をする、食後に歯を磨く、人の陰口を言う、世間体を気にする、といったことまで数多く当てはまります。

「人に本音をぶちまける」もそのひとつ。私の場合でお話しすると、うちの親はふたりとも人付き合いが苦手なほうで、いつもまわりに気を遣っていました。子どもにも「人前では言いたいことも言わず、つつがなく振舞うほうが無難」という暗黙のメッセージが浸透していたのです。

 私はそんな保守的な発想をする親に反発して、積極的で社交的に振る舞いたいと思いました。社会に出て最初にアナウンサーという仕事に就いたのも「言葉を武器にして本音を言って勝負したい!」と思ったからです。

 けれども人前でいつも本音を語ることは、私にはやはり恐ろしい特別なこと≠ノなっていたようです。「公の場で本音を言っていたら人から嫌われる……」という、親と似たような恐怖を感じて本音≠ニ建て前≠使い分けるようになりました。そして、そんな自分を嫌悪したのです。

 だれもが子ども時代に、よくも悪くも親の影響を受けることは避けようがありません。だったらいっそ、こんな考え方をしませんか。――自分が大人になって、親から「いい影響を受けた」と思うことは大いに感謝し、「悪い影響を受けた」と思うことは愛の鞭と考える。

 愛の鞭とは、愛のメッセージという意味です。つまりそれは『悪い影響を受けたと思うなら、それを自分が乗り越える課題だと思って努力せよ。そして親を超えていけ。親よりうんと大きくなれ!』

建て前≠言う自分を嫌った私は「じゃ、どんな自分でいたいのか?」と自問しました。すると答えは「人に嘘をつきたくない」。だったら、本音を言いたくないときには正直に「今は本音をいいたくない」と言えばいい。そうすれば嘘をつかないでいられると思ったんですね。

 私は親のおかげでのびのびと生きられる自分の好きなあり方≠見つけることができたのです。あなたは、親に反発を覚えることが何かありますか? その反発を、自分が望むあり方を探るヒントにしましょう。

 まずは反発モードを切り替えるために、心の中で「反面教師になってくれてありがとう」と親に言ってから「自分はどうありたいか」を考えるようにしてみてください。そのときあなたは、素直に、本気で自分の本音に耳を傾ける新しいあなたになっていますよ。

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Last Updated: 2013/06/07