昔から『勤勉は美徳』という言葉があるくらいですから、まじめに一生懸命働くことはいいことだと、みんな思っているのではないでしょうか。しかし「すぎる」と問題が……。まじめすぎることの弊害について考えてみましょう。
まじめすぎると、自分を何がなんでも思い通りに動かそうとします。その結果、自分で自分を追い詰めていることにまったく気がつかないで、身も心も疲れている人が大勢いるように感じます。
どうしてそうなるのかというと、理由のひとつは動機≠ノあります。「こうならないように」と用心深い発想をするためです。たとえば、自分が「役に立たないと思われないように」「出世コースからはずされないように」「人に迷惑をかけないように」「生活に困らないように」と、そうなることを恐れて自分を思い通りに動かそうとするんですね。
この動機の背景にあるのは、脅迫概念です。だから、どんなに一生懸命働いても、まだ足りないような気がしてしまいます。さらによくないのは、マイナスを背負わないことに心を奪われることでときめきを失っていくことなのです。
もし、あなたに少しでもその傾向があったら、脅迫概念ではなく働く喜び≠もたらす動機がぜひ必要です。自分はどうして働くのかということを根本から見直して、動機に個人の楽しみを加えましょう。思わず頬がゆるんで、ウキウキするようなこと。その楽しみのためにあなたは働くんですよ。
まじめすぎる人が自分を追い詰めてしまうもうひとつの理由は、結果を出すこと≠ノとらわれる点です。がむしゃらに働かなければ結果は出ないと思って、適当に休むことを自分に許しません。「サボるな」「手を抜くな」ととことん自分を追い立てていくんですね。
まわりの人がそんなようすを心配して「少し休んだら?」と、声をかけたとしましょう。そのとき「大丈夫だから」と取り合わないとか、「ほっといてよ」とイラッとしたら、あなたはかなり疲れています。自分を客観的に見ることも、案じてくれる人の言葉に耳を貸すこともできないくらい、心が擦り切れている証拠だと思います。
今あなたがしていることは、大切な自分を病に追い込んでまでしなくてはいけないことでしょうか? それをして、自分に何が残ると思いますか? まだ人生はこれから続くんですよ!
もうヘトヘトだと感じているなら、思い切って自分にお休みをあげましょう。休ませついでに「結果を出さなくてはいけない」という観念も葬ってください。その観念のかげにある「結果を出せなかったらどうしよう」という恐怖心を超えることがとても重要です。
ひと息入れて元気を取り戻したら、今度こそ、余裕を持ってかまえてくださいね。あなたは、もともとやるべきことはきちんとやる人だから、結果にこだわらないで臨めば、きっといい循環が生まれて気分よくエネルギーが回るはず。働く喜びと、気持ちよさを大事にして、自分なりのベストを目指せばOKですよ。