エッセイ
  (更新日:毎月7日)

Vol.09
魂への配慮

Vol.09 魂への配慮

 物事は、視点を変えると必ず別の事実が見えてきます。その意味で、メリット100%ということもデメリット100%ということもありません。同じ人でも、メリット・デメリットは状況によって簡単に入れ替わります。たとえば、タバコ値上げに不服の人が、自分が禁煙したとたんに禁煙賛成派に変わったというのはよく聞く話。

 実は、病気もそうなんです。自分が病気にかかればだれだってデメリットと感じるでしょう。でも、休まざるをえなくなって療養する間に、家族と貴重な触れ合いができたり、生活習慣を反省できたり、まったく別の生き方を選択する機会が生まれるかもしれません。そうなったら、一連の体験は人生のメリットに変わるかもしれないのです。

 一般に、生き方上手と言われる人たちは、身に降りかかったデメリットを、速攻で視点を切り替えてメリットにできる人たちなんです。「私にはそんなこと、むずかしくてできない」と思いますか? だったら、最初から視点を切り替えておきましょう。そして極力、クヨクヨ、ウツウツとして過ごす時間を減らしませんか。

 その方法は、"悩み事"をすべて"課題"と認識し直すこと。あなたを困らせる事柄には"クヨクヨ、ウツウツとさせる悩み事"なんかひとつもなくて、本当はすべて"イキイキ、サッソウと取り組むべき課題"なのです。

 課題は、自分の人生に出される宿題のことで、必ず自力で解決できる問題です。だから、困った事柄を全部自分の宿題と割り切ってしまえば、それだけでも気持ちが前向きに変わると思います。「そうか、なるべくそう考えよう」ではダメですよ。たった今から「その主義でいく!」と完全に発想を切り替えましょう。

 次に、自分に出された宿題を解決するにはどうすればいいかですが、答えは、自分の態度を納得して決めてその課題に終止符を打つ。ただし、納得するには"自分の幸せの基準"がブレないことが不可欠なのです。今ここであなたの基準を明確にしておきましょう。

 私たちに共通する人生の目標は、それぞれが成長して幸せに生きていくことですよね。あなたは、どんな自分であったら幸せに生きられると思いますか? その答えをみずからの胸、つまり"魂"に問いかけるんです。モノと態度はあとからついてきますから、幸せな心のあり方を問いかけてください。

 魂は、目に見えない本来のあなた、崇高な意識、覚醒をうながすガイド、良心……のことです。ちなみに、私が問いかけたときの答えは「自分に誇りを持てるように」でした。それを基準に態度を決めるようにしたらグズグズ迷うことがなくなりました。

 ソクラテスは『魂への配慮こそが、人間の最大のテーマだ』と教えています。ようは、「魂の存在を無視するな。ひとりひとりが注意して魂の声に耳を傾ければ、人間はもっと進化できる」と言っているんですね。頭を抱えている場合ではありませんよ。悩みらしきものが発生したら、魂の声を聴く絶好のチャンスです。

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Last Updated: 2012/09/07