エッセイ
  (更新日:毎月7日)

Vol.06
とっさの言葉

Vol.06 とっさの言葉

「とっさの言葉を変えてみよう」と言われたら、「とっさだからそれはムリでしょ」と思いますか? もしそう思ったとしたら、「それはムリでしょ」という言葉も、あなたの口からとっさに飛び出す言葉のひとつなのかもしれませんね。

 とっさの言葉は、いわば口癖になっている反応です。でも口癖は、変えようと意識すれば必ず変えられます。はじめは否定的な言葉が飛び出したら、その場で言い換えましょう。そのうち飛び出す前にハッと気づいて、自分を幸せから遠ざける"思考パターン"を変えることができますよ。

 たとえば、あなたが「それはムリでしょ」とはもう言わない!と決意したとします。それは「物事を頭から否定しない」と決意するのと同じなんです。すると、人のリクエストや自分の思いつきに対して、「やればできるかも」「やってみなくちゃわからない」という発想をするようになります。

 その上で、「今回はやめておこう」と判断すればやめればいいこと。重要なことは、とっさに全否定してかからないということなのです。物事をいったん受け入れてから判断するだけで、態度が自然に前向きになるでしょう。

 もうひとつ、否定語ではありませんが、ぜひ言い換えをお勧めしたいとっさの言葉があります。それは「すみません」。人に親切にしてもらったとき、思わず「すみません」と言っていませんか? それを今日から「ありがとう」に変えましょう!

「すみません」はけして悪い言葉ではありませんが、「私には恐れ多い。私にはその価値がありません」というニュアンスを含みます。謙虚さはあるけれど、実は"自分が中心"の言葉。一方「ありがとう」は、「あなたはやさしい。あなたの好意はすばらしい」というニュアンスを含む、感謝と敬意を表す"相手が中心"の言葉。

 相手の胸に心地よく響く言葉はどちらだと思いますか? 自分が人に親切に接したときを思い浮かべればわかりますよね。「余計なことしちゃったかな」と心配になったときも、笑顔で「ありがとう」と言われるとホッとしませんか?

 笑顔で伝える「ありがとう」は、恐縮顔で伝える「すみません」より、はるかに相手を喜ばせる言葉なのです。「ありがとう」をあなたのとっさの言葉にしてください。すると、自分がほめられたときも、とっさに「ありがとう」と言えるようになりますよ。

 ほめられると照れて「そんなことありません」とへりくだる人がとても多いんですが、これはほめてくれた相手の好意を受け取らない、がっかりさせる言葉です。中には、何度も否定してほめた相手をしらけさせてしまう人もいます。

 自分がどう思っているかより、相手がそう思ってくれたことを素直に喜びましょう。それをまっ先に感謝の言葉で伝えませんか。また、ほめられた言葉を素直に受けとめると、自分を肯定する思考も生まれやすくなります。あなたの思考の入り口にあるとっさの言葉をもっと大切にしましょう。

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Last Updated: 2012/06/07