エッセイ
  (更新日:毎月7日)

Vol.04
つまずいたときには

Vol.04 つまずいたときには

 物事が思うようにいかない……という経験はだれもがしますが、それが大きな出来事だと、人生につまずいてしまったような気持ちになることがあるかもしれません。もしもそんな気持ちに襲われたら、今から書くことをぜひ思い出してください。

 人生で「つまずく」ことは、けして悪いことではありません。それはあなたが「前に向かって生きている」という証拠だから。そんなときの選択肢は3つ。

@「つまずいた悲しみを味わい尽くす」と決めていやになるまで感じる。
A「この体験にも意味があるはず」と考えてよーく反省する。
B「このくらいで負けるもんか!」と奮起して立ち上がる。

 このどれかを選びましょう。Aは、Bの前段になると思います。@でもいいのは、悲しみを味わい尽くすと、自動的にAからBへと移り変わるからです。

 ところが、まじめな人ほど「弱い自分ではいけない」と思って@を許さない傾向があるんですね。私たちは生身の人間、ショックを受ければだれでも自然に悲しみが込み上げます。その感情が、瞬時に怒りに転じるのです。だから悲しみを無視すると、ずっと怒りに苦しめられます。その意味では、一心に悲しむことは必要なステップなんです。

 あなたは、この他に私たちが陥りやすいパターンがあることに気がつきましたか? それは、C「自分なんかもうだめだ」と自暴自棄になる。D「こうなったのはあいつのせいだ」と人を責める。この2つです。

 CとDだけは絶対に選ばないという意志を強く持ちましょう。自他を責めると、憎悪することにエネルギーを奪われてますます苦しくなります。その上、「あんなことがなければよかった」と悔やみはじめれば、立ち直るのが遅くなるだけ……。

 @ABがいいのは、つまずいた体験を糧にするという姿勢だからです。そう、「転んでもただ起きない!」という気概がものすごく大切なんです。それがあれば、新たな希望がわいてきっと前に進めるでしょう。

 つまずいたと思ってもあせらないで。人生を長い目で見れば、それは「ないほうがよかった」のではなく「成長するために乗り越えなければならなかった」経験のはずですよ。それを信じて、今はありがたくない出来事も「きたか」と腹をくくって受け入れましょう。

「きたか」と腹をくくって身に降りかかることを受け入れていくと、つまずくことがなくなります。ようは、つまずくという観念が消えるんですね。私はその段階を経て、ようやく物事を思うように動かそうとしないことを覚えました。物事が思うようにならないのは、大自然を思うように動かせないのと同じという感覚です。

 一日も早く、つまずくことから自由になりましょう。何事にもとらわれず、流れに沿って生きることを"無為"といいますが、それこそが私たちが安楽に生きる知恵だと思います。

エッセイバックナンバー


| ホーム | プロフィール | エッセイ | ねっとカウンセリング | みんなの広場 |
| Booksコーナー | 講演依頼 | お知らせコーナー | ボイス・レター |

Last Updated: 2012/04/07