エッセイ
  (更新日:毎月7日)

Vol.03
なんのために

Vol.03 なんのために

 私たちの人生には、いつ苦しみや悲しみが降りかかるかわかりません。自分の身にとんでもないことが起こったとき、そのまま絶望の谷に落ちていくか、それとも、立ち直ってふたたび歩きはじめるか、それはあなたしだいです。

 そう言うと、「絶望の谷になんか落ちたくないに決まっている。だけど、立ち直る方法がわからない」と答える人が圧倒的です。そこで今回は、私が実践している"失望しても早く立ち直る方法"をお伝えしましょう。

 あなたはとんでもない目に遭ったとき、「なんで私がこんな目に遭わなくちゃいけないの」と思いませんか? 私もそうでした。でも、それはもう起きてしまったことなんですよね。起きたことを「なんで」と悔やみ続けると、絶望の谷に落ちていってしまいます。

 谷底からはいあがるにはたいへんな努力を要します。私はいやというほどそれを味わったので、もう失望しても「なんで」とは思いません。その代わり、「なんのために私はこの体験をしたのか」と考えます。あなたもぜひ、『「なんで」を「なんのために」に変える』というシンプルな発想の転換をしてください。

 その大前提として、私の中には3つの信念があります。それは――@人生に偶然はない。A人生に無意味な体験はない。B人生に乗り越えられない試練はやってこない。――そう信じるからこそ、つらい体験の陰に隠された"必然の意味"をどうしても知りたい、と強く思うんです。

 最初は「なんのために」と考えてもさっぱり意味を解せず、そんなときは勝手に意味をこじつけていました。たとえば「負けるな、強くなれということだ」「もっと大らかに受け流せということだ」と。それでも、悔やみ続けるよりは前向きになれるからいいと思いました。

 あなたが「なんのために」と考えても、すぐには答えが出てこないこともあるかもしれません。でも、それを続けていると、必ずわかるときがやってきます。あの苦悩はこのためにあったのか……と感慨を持って体験を振り返るときが訪れるでしょう。

 人生を揺るがすような苦しみに限らず、日常の"ちょっとムカつく出来事"に遭ったときも、「なんで」ではなく「なんのために」と考える習慣をつけませんか。すると、物事をいつでも前向きに解釈する力が備わってきますよ。

 その人の心の平和は、人生に降りかかる出来事をどう解釈するかによって決まります。つまり、その人の解釈によって心のありようが決まり、目に映る景色まで変わるんですね。似たような環境に身を置いて、似たような体験をしたとしても、ひとりひとりの心は、常にその人の解釈した世界に留まるのです。

 10人いれば10通りの解釈があるように、あなたも年齢によってさまざまな解釈をするようになると思います。それが心の平和を左右するなら、前向きに解釈する力を一日も早く身につけて、人生に起こることをむやみに恐れず、心穏やかに生きていきましょう。

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Last Updated: 2012/03/07