エッセイ
  (更新日:毎月7日)

Vol.11
心を自然に戻そう

Vol.11 心を自然に戻そう

 今年、日本人は大震災という大きな試練に遭いました。その後もタイの洪水をはじめ、世界の自然災害はあとを絶ちません。想定できないことが次々と起こるのは、大自然の力が人間の力をはるかに越えている証拠です。

 人間は長年、そんな大自然に敬意を払って生きてきたはずなのに、いつのまにかおごってしまったような気がします。もともと人間は自然の一部なのに、心が自然から離れてとても"不自然"になった結果、苦しみを募らせているのではないでしょうか。

 人生にはいろんなことが起きて、私たちは悲しい目にもつらい目にも遭います。でも、もし試練を受け入れることができず、いつまでも苦しんで気力がわいてこないとしたら、心が不自然になっているんだと思います。絶望や怒りは、「心がいびつになっています。本来の姿に戻してください」という自分の魂の叫びにほかならないから。

 苦しみの原因を自分の外に探して解決するというのは合理的な方法かもしれませんが、それが自分ではどうすることもできないことだったら……天災でも人間関係でも、自分の力が及ばないことだったら、あなたはどうしますか? それを私たちは問われているのです。

 自然災害を目の当たりにして、改めて「本当に大切にしたいもの」を思い知ったという人は多いはずです。それは人と人とのつながりだったり、命の尊さだったり、逆境に立ち向かう強さだったり……とさまざまでしょう。

 そこでもう一歩踏み込んで、自分が思い知ったことを、もっと真剣に実生活に反映しませんか。多くの命と引き換えに聞き取った魂の叫びを、本気で自らの生き様に反映しませんか。

 少しでも心が不自然になっていたら、早く自然な状態に戻しましょう。心がいびつなままだと、絶望や怒りに長く苦しめられます。あなたの心をいびつにするものは、いつでもエゴイスティックな欲望と恐れです。それを退けてください。

 心が自然な状態に戻ると、生かされている喜びや感謝を感じます。愛があふれて、本来持ち備えている利他の心や向上心を発揮しはじめます。そこで得るものが感動なのです。人生をそんな感動で埋め尽くして生きていきましょう。

 めったに感動しないという人は、それだけ心が不自然になっているんですね。そんなときは大自然に心を預け、自分と同じ命を、植物や動物といった生物がそれぞれどんなふうに生きて、どんなふうに共存しているのかに意識を向けてみませんか。

 私はこれまで植物のあり方にどれほど感動を覚え、自分の生き様に照らしてどれほど多くのことを教えられたかわかりません。その気持ちを『野の花』になぞらえて表現してみますね。あなたが何か感じてくれるとうれしいのですが……。

『自分に与えられた場所で、だれが見ていようがいまいが、ひたすら天に向かって咲く花たちよ。手折られても、踏みつけられても、命ある限り咲こうとするけなげな花たちよ。宇宙に愛されて生きるものたちの、自然な姿がそこにある。』

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Last Updated: 2011/11/07