エッセイ
  (更新日:毎月7日)

Vol.07
半年を振り返って

Vol.07 半年を振り返って

 2011年の前半が終わりました。この間に大震災と原発事故が発生して、だれもがさまざまな形で「これまで通り」の生活を変えざるを得ないという体験をしたのではないでしょうか。この体験を無にしないで「自分は何を変えるべきか」を考えてみましょう。

 見方を変えれば、私たちは"生きる質"を向上させる機会を手にしたのです。これまで「あるのが当たり前」と思っていたモノや、「そばにいてくれて当然」と思っていた人に対する自分の意識を一度見直してみませんか。

 もしかしたら、世の中には「当たり前」にあるものなんてひとつもないのかもしれません。被災した方が「命があるだけでも有り難い」とおっしゃっていましたが、私たちが生きられることや働けること、案じてくれる人がいること、平穏な生活があることは、実はとても「有り難いこと」、つまり「当たり前じゃないこと」なのです。

 その意味で変えるべきは"発想"です。何にでもすぐ文句を言うのは、自分が心に不満をかきたてるからです。もし、不満をかきたてない「有り難い=当たり前じゃない」という発想で受け入れていったら、『感謝の気持ち』や『謙虚さ』を失わないと思います。

 人間は『感謝の気持ち』や『謙虚さ』を心の真ん中に置けば、文句を言わずに生きていけるのです。それこそ毎日、「ありがたい」と感じながら生きられるようになるでしょう。そのためにはエゴのささやきに負けないで、何でも「自分のもの」「思うようにしたい」という欲望に取り込まれないことが重要です。

 私は「この体も、家も、仕事に必要なもの全部、天からの"借りもの"」と考えています。それぞれ期限付きで天からお借りしているわけですから、縁がなくなって返却するまで、ありがたく使わせていただきます。

「この世に自分のものなどひとつもない。すべては天からの"借りもの"に過ぎない」と考えるようになったのは、モノを所有して満足するより、心に何も所有しないことに満足するほうが大切(安楽)だと気づいたからです。

 所有欲や執着心を募らせれば、心は苦しくなる一方です。あなたも今手元にあるものを活かし、縁ある人たちと分かち合って楽しく生きていきませんか。それが心豊かに生きるということだと思います。すると、手元にあるもの(借りもの)が変化しても不満をかきたてなくなります。

 どんなときも、あなたを不幸にするものは、あなたの心の外にはありません。たとえ人生が一変しようとも、心の内にある幸せはだれにも壊せない。その幸せを壊すことができるのは、心の内にある『貪欲さ』が生み出す不満なのです。

 被災地でがんばっている人たちのことを考えたら、私たちはもっと強い連帯感を持ってたくましく生きていけるはずです。また、当たり前にあったものを奪われてしまった人たちは、是が非でも自らを不幸にしない発想を見出してください。その鍵は、心の真ん中に『感謝の気持ち』と『謙虚さ』を置くことに尽きると思います。

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Last Updated: 2011/07/07