エッセイ
  (更新日:毎月7日)

Vol.05
心しておきたいこと

Vol.05 心しておきたいこと

 震災があり、原発事故があり……今、私たちはこれまでとは明らかに違う状況の中で暮らしています。そんな中で『忘れてはならないこと』と『忘れたほうがいいこと』があると思います。

『忘れてはならないこと』は、この瞬間にもがんばっている被災者が各地にいるということ。これといった手助けはできなくても、心を合わせることならばいつでもできます。「もしも自分が同じ立場だったら」と想像して痛みを分かち合うことは、「ひとりぼっちじゃないよ」と労わる心につながると思います。

 ひとりひとりは"大気"を媒体にして全員とつながっています。どういうことかというと、もし大気の状態が変わればその影響を全員が受けるように、私たちはもともと有機的につながった「ひとつの存在」なのです。

 大気を分析すれば「地球を取り巻く気体・ガス」ということになるでしょう。しかしそこには目に見えない"気"も存在しています。大気を"大きな気"としてとらえてみましょう。

 あなたは生きているあいだ、息を吐いたり吸ったりし続けます。息を吐くということは、"気"を放出するということです。つまりあなたは息をするたびに、無意識に自分の想念を乗せた"小さな気"を大気にまき散らしているわけです。

 そんな大げさなこと……と思いますか? では、小さな空間で考えてみましょう。たとえば、人の部屋に足を踏み入れたとたん、「ほっとする」「温かな感じ」「冷たい」「いやな感じ」といったなんらかの気配を感じたことがありませんか?

 あなたは部屋に漂っている主の想念を感じ取ったんですね。その主の心境が変われば、部屋の気配も変わります。物理的な「汚れ(よごれ)」も、その人の心の「汚れ(けがれ)」と関係があります。精神修養で掃除を重視するのはこのためです。

 私たちひとりひとりの力は小さいけれど、ひとりひとりはすべてに影響を及ぼす存在なのです。あなたが愛の気を放って生きれば(逆に邪気を放って生きても)、大気を通して全員がほんの少し影響を受けます。そのことが腑に落ちると、自分ひとりの幸せにこだわって生きることはできなくなると思います。

 日本中が沈みがちなときだから「日常を取り戻す」ことは大事ですが、それは決して「自分は関係なく」生きることではないはずです。こんなときだからこそ、ひとりひとりが自分にできることとして、やさしい気持ちで生活するように心しましょう。

『忘れたほうがいいこと』は、これまでのうらみつらみ、「許せない」という気持ち、執念です。執念は心を蝕んで不幸に追いやるだけです。そんな邪気を放たないで、被災者の痛みを癒す側にまわりましょう。どんな体験をしようとも、労わり合って生きていくことが私たちの使命です。自分を、人を、愛することの大切さを自覚してください。

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Last Updated: 2011/05/07