人間は「心の疲れ」が「体の疲れ」を上回ると眠れなくなるという話を聞いて、なるほど!と思いました。ぐっすり眠って「体の疲れ」を取りたいと望んでも、肝心の眠りに就けなければどうしようもありません。
なかなか眠れなくて焦ってしまうという人は、ベッドに入ったらまず「心の疲れ」を取ることに専念しましょう。心の悩みは即座に消えなくても、いやな緊張を解くことができればきっと睡眠に誘えると思います。
いやな緊張を解きほぐすコツをお伝えしましょう。それは『ゆだねる』ことです。人智を越えた存在に「お任せします!」と宣言するだけでいいのです。これで安眠できるなんて簡単すぎますか? こんな簡単なことをむずかしくしているものは、あなたの心に潜む"執着心"です。
『お任せします宣言』は執着心を取り除いて行わないと、口先だけになってしまいます。すると心は「こんな口先だけで変わるものか」と新たな宣言をし、あなたは「変わるものか」という新たな宣言通り、眠れない夜を迎えることになるのです。
寝付けないあいだ、心の中はどうなっているのでしょうか。主に考えられることは3つ。
1つ目は、もう終わったことを心の中で蒸し返して何度もいやな気分を味わう。後悔です。その延長上に未来のことを考えるので、暗い想像しかできなくなります。後悔の背後には「この現実は受け入れたくない。ああだったらよかった」と執着する気持ちがあります。
2つ目は、考えても答えの出ないことを思いわずらう。たとえば「この状況が続いたらどうなるだろう」「今夜も眠れなかったらどうしよう」「死んだらどこへ行くんだろう」など、考えてもどうにもならないことを考え続けます。こうした不安にとらわれるのは「予想外の苦しみを味わいたくない」という執着心があるためです。
3つ目は、考えが堂々めぐりして決断を下せない。この状態は「私はこうする!」と腹をくくれないために起こります。そうなるのは、自分に不都合な結果になることを恐れるからで、つまりはいい結果に対する執着心の表れなのです。
寝付けない原因がわかれば、これ以上執着して睡眠不足になるより、お任せして安眠できるほうがいいに決まっていますよね。そちらに心を持っていくための新宣言を紹介しますので、気に入ったフレーズを眠くなるまで唱えてみましょう。
・眠れぬ夜に、後悔に襲われたら――「終わったことは"そのときの自分の実力"と思って受け入れます。結果はお任せします! 私はもっと成長します!」
・考えても答えの出ないことを考えはじめたら――「ときを無駄なことに費やすのはやめます。楽しい想像をして、安心して未来をゆだねます!」
・考えが堂々めぐりして決めかねたら――「損得を置いて、自分が美しいと感じたことをします。それが私の人生です。あとはお任せします!」
これでいい眠りに就けると信じてやってみてください。毎晩のように宣言するうちにこの発想が身につけば、普段から心穏やかに過ごせるようになりますよ。