エッセイ
  (更新日:毎月7日)

Vol.02
ふたつの「とき」

Vol.02 ふたつの「とき」

 あなたは『クロノス』と『カイロス』という言葉を聞いたことがありますか。両方とも「とき」という意味ですが、内容が違います。

『クロノス』は、機械で計ることのできる物理的な「とき」。ギリシャ神話では"時の神"の名称で、私たちが日常「時間」と呼んでいるのはこのクロノス。1日は24時間と定められ、時計が精密に世界共通の「とき」を刻んでいます。

 一方『カイロス』は、機械では計ることのできない宇宙的な「とき」。運命的なめぐり合わせやタイミング、シンクロニシティなどを示す主観的なものです。恋に落ちたとき、芸術に心奪われたとき、人生で何か大切なことを決意したとき……といった、いわゆる時間を超えた「とき」のこと。

 ひとりの社会人として時間を守って生活するのは当然だと思いますが、あなたの心が四六時中クロノスに支配されて、そのあいだに流れているカイロスに無関心になってしまうと、自己実現への道は遠のいてしまうかもしれません。

 なぜなら、恋愛(結婚・離婚)や仕事(就職・離職・転職)などで大きな決断を下して飛躍するときは、カイロスがそのタイミングを教えてくれるからです。自己実現は理詰めで叶うものではありません。自分のバイオリズムと宇宙の力が合体するタイミングが必要不可欠です。

 人でもモノでも、たった一度出会っただけなのに、その「とき」が濃密で深く心に残ったということはありませんか。自分が変わる運命的な「とき」を直感したことはありませんか。カイロスはそんなふうにして"人生のターニングポイント"を知らせてくれます。

 もしあなたが、そんなマジカルな「とき」のことを頭で処理しようとすれば、今は仕事が忙しいし……お金の都合もつかないし……と言い訳しているあいだにカイロスは通り過ぎ、自己実現のベストタイミングを逸してしまう恐れがあります。

「行くなら今だ!」と感じたときも、「ここが潮時だ!」と感じたときも、「この話に乗る!」「いや、この話には乗らない!」と感じたときも、「どうしてかわからないけど、胸の奥で強くそう感じたから」でいいんですよ。

 私たちはクロノスによって外側=社会とつながり、カイロスによって内側=宇宙の叡智とつながっています。人生にはこのふたつの「とき」が流れていることを理解して、カイロスの門をいつも開けておきましょう。

 しょっちゅう時計を見てクロノスを確認するのと同じように、いつも心を透明にして自分のカイロスがいつきてもいいようにしておくのです。チャンスの小舟は"偶然を装って"あなたの岸にたどり着きます。それが、あなたの「とき」が熟したというサインです。

「今だ!」と感じたら迷わず小舟に飛び乗って、持てる力をすべて出し切ってください。きっと、数々のシンクロニシティが起こって物事が飛躍的に好転すると思います。予測不能な人生だからこそ、カイロスを味方につけて大海原に漕ぎ出しましょう。

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Last Updated: 2011/02/07