エッセイ
  (更新日:毎月7日)

Vol.05
「それは雑用ですか?」

Vol.05 「それは雑用ですか?」

 新しい仕事に就いて希望にあふれていたはずなのに、仕事が楽しくない。仕事をしたくない。もう疲れた……と、職場が変わって1ヶ月が過ぎるころ、新しい環境にうまく適応できなくて、無気力、無感動、無関心になってしまう人がいます。

 いわゆる五月病と呼ばれる心の状態です。もし、少しでもそんな兆候が現れたときには、「こんなことじゃダメ」「私はどうかしてる」と自分を責めないでくださいね。そこで自分を追い込んでウツにならないようにしっかりケアしましょう。

 あなたはいろんな面で張り切りすぎてしまったのかもしれません。もしかしたら昼間のストレスを発散しようと夜中まで騒いだり、休日も出歩いたりして、余計に疲れてないでしょうか? そんなときは心身の充電が必要。"何もしない"ことをおススメします。

 かといって、一日中寝床にいたり、テレビの前でボーッとして何もしないときを過ごさないこと。それでは充電できません。あなたに必要なものは"癒し"なので、ぜひ大自然に触れて、その力を借りて頭の中を空っぽにする時間を設けましょう。

 それから自分の気持ちを整理してみてください。仕事が楽しくないのは"やりがい"を感じられないからだと思いますが、その理由として「雑用ばかりさせられるから」と言う人がいます。あなたはいかがですか? はたして、私たちの社会生活に"雑用"ってあるのでしょうか? 

 会社で課せられる仕事に限らず、家事でも、育児でも、私たちが働くのは、その作業が必要だから。それをだれかがやらなければならないからです。初めから"雑用"という仕事があるのではなく、それを"雑用"と思う心がその人にあるだけなのです。

 あなたが「私のしていることはしょせん雑用」と感じるとしたら、背後に「こんな作業はくだらない」というあなたの価値判断があります。そんなときは「この考えは自分のどんな価値観からきているんだろう?」と深層心理を探ってみてください。心の奥に潜む原因を突き止めるんです。

 たとえば、「だれも注目してくれない作業はつまらない」と思うならそのわけを追究し、「人に注目されないと自分が認められている気がしない」としたらさらにそのわけを掘り下げます。すると「人が認めてくれないと自分の価値を感じられなくて不安」という感情が浮かび上がってくるかもしれません。

 これは一例ですが、根本の原因がわかれば手を打てます。この場合だったら『自分で自分の価値をちゃんと評価してあげなくちゃいけないんだ』という大事なことに気づいて、きっとわだかまりを捨てられるでしょう。そうすれば、自分の仕事にもっと心を込められるようになると思います。

『働く』という言葉には、人が動いて『ハタをラクにする』という意味があります。あなたが働くのはまわりを助けるためなのです。人生の一時期どんな環境に置かれても、そこでだれかの役に立とうとニコニコ動くあなたになれば、あなた自身が救われていきますよ。そんな晴れ晴れとした心を取り戻しましょう。

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Last Updated: 2010/05/07