エッセイ
  (更新日:毎月7日)

Vol.04
「心が寒くありませんか?」

Vol.04 「心が寒くありませんか?」

 すっかり春の陽気になりましたが、あなたの心の中は寒くありませんか? 孤独……この言葉を目にすると、スーッと心が寒くなるような気がする人は、これまでさんざん味わってきた寂しさを思い出してしまうのかもしれませんね。

 私たちは寂しいとき「心が寒い」という表現をしますが、人間が本当に寂しさを感じているときには、体感温度も下がっているそうです。トロント大学の心理学者がこんな実験をしました。

 65名の学生を2つのグループに分け、一方には"自分が仲間外れにされたとき"のことを思い出させ、もう一方には"自分が仲間と一緒に何かしたとき"のことを思い出させ、そこで「室温は今何度くらいだと思うか」という質問をしました。室温は一定にしてありましたが、寂しい感情を思い出したグループの人たちは、仲間と分かち合った感覚を思い出した人たちよりいっせいに低い室温を答えました。

 この結果から、寂しい気持ちを感じているときには、心だけでなく、体も寒さを感じていることがわかったのです。逆に、他の人とのつながりや一体感を感じているときには、体感温度が上がります。

 つまり、人間は心がほっこりしていれば体温も上がる。心で感じる事柄と、体で感じる事柄と、頭で考える事柄は、すべてつながっているということが改めて証明されたのでした。

 最近よく「体温が1度上がると、免疫力が5倍UPする」という話を聞きますが、その意味でも、寂しさとは正反対の安心感や一体感で心を満たすことは、幸福力と免疫力を向上させるために欠かせないことだと思います。

 昨今はだれもがケータイを持っていて、いつもメールを送り合って孤独を感じないようにしているのに、ケータイがなかった時代よりも孤独感が蔓延しているような気がします。便利さに流され、あなたの心はどこかに取り残されて寒がっていませんか?

 大切なのは、電波がつながることじゃなくて、心がつながることです。メールにばかり依存しないで、たまには直に会って"目力"で温もりを伝えることや、ギュッと力を込めて握手する(抱きしめる)ことの価値を考えてみましょう。

 また、言葉を単なる伝達道具にしておかないで、もっと"温もりを伝え合うツール"として生かそうと考えれば、あなたの心身は即座に反応するはず。そう、心と体と頭はつながっているからです。

 最後に、心を寒くしない最善の方法をお伝えしましょう。それは『温もりを求める人から、温もりをあげる人になる』ことなのです。それを目指して生きていったら、必ずあなたに変化が起こりますよ。

 求める心は寂しいけれど、与える心は温かい。私たちはいつでもまわりの人に向けた気持ちを、真っ先に自分が浴びながら生きていくからです。温もりをあげる人を目指してあなたが一生懸命になれば、真っ先にほっこりするのはあなた自身の心なのです。

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Last Updated: 2010/04/07