あなたは自分のことを、生きるのが上手なタイプだと思いますか? それとも下手なタイプだと思いますか?
もし、"要領よく立ち回って小さな努力で大きな成果を上げる人(タイプA)"を生きるのが上手と言うならば、きっと多くの人が「私は生きるのが下手だと思う。不器用でいつも損しているから」と答えるのではないでしょうか。
でも、ちょっと待ってください。はたしてその不器用で損しているという人たちは、この競争社会では簡単に幸せを手に入れられないのでしょうか? 私はそうは思いません。本当の幸せを手に入れる最短距離にいるのは、むしろ"要領が悪くて損することが多い不器用な人(タイプB)"なのです。
そのわけは、一般にタイプAは、頭の回転が速くて先見の明もある人たちかもしれませんが、そのよさを自分が利益を得るためだけに使おうとすれば、たちまち幸せを取りこぼしてしまうからです。
もし、利己的な考えで人を出し抜いたり、目先の欲にかられて弱者を切り捨てたりすれば、それこそ妬みを買うでしょうね。いつだれに足を引っ張られるかわかったものではありません。そんな世界に身を置いていたら、心が休まることはないと思います。
つまり、とても要領がいい人は、ひとつ間違えば安楽に生きられなくなってしまう恐れがあるのです。それを回避するには、頭のよさや先見の明を人に貢献する(人を幸せにする)ために使うこと。それに尽きます。それができたら本当にすばらしい。
一方、タイプBは、妬んだり、ひがんだり、ないものねだりさえしなければ、すでに幸せな人たちです。この「妬まない」「ひがまない」「ねだらない」がむずかしいことかもしれませんが、我欲をこんなふうに考えてみたらどうでしょう。
「自分が何かで損したときは他のだれかが得しているんだから、私の損は社会貢献!」「自分が不器用にしか生きられなければ他の人は出し抜かれなくてホッとできるから、これは他者救済だ!」って。もう、笑っちゃうくらい楽天的にかまえましょうよ。
人の価値は、どのくらい他の人の役に立っているかで決まると言います。だから、生きるのは下手でもかまわないんです。要領が悪くても誠実な人は心強いし、不器用でもいつも笑顔の人は楽しい。そういう人たちのほうが、助け合っていっしょに生きる仲間として何百倍も魅力的です。
「これじゃ損している」「ああでなくちゃダメ」という発想はもうやめましょう。それよりも、あなたはあさましくならず、譲り合う心をなくさないでいてください。
幸せか否かは、自分の"やり方"で決まるのではなく、"あり方"で決まるのです。「ちょっと損するくらいでいいのかも」「私はこのままで十分楽しく生きられる」と思えるようになれば、あなたはそれこそ小さな努力で大きな幸せを手に入れることができるでしょう。