エッセイ
  (更新日:毎月7日)

Vol.10
「憂うつな気分のあなたへ」

Vol.10 「憂うつな気分のあなたへ」

『私』を幸せにしよう、『私』を豊かにしようとがんばってきたけれど、悩みは尽きることなく追いかけてくる……もう疲れた。もういやになった。このままだと、憂うつな気分に心が押しつぶされしまいそう……。 

 今あなたが少しでもこんな気持ちを抱えていたら、この続きを読んでください。 私たちが生きていく限り、悩みというものがなくなることはありません。人間は「悩み続ける」生きものだからです。でもそれは「進歩し続ける」生きものという意味。

 次から次へと悩み事が追いかけてくるから、頭を使い、心を砕き、創意工夫、努力する。そして私たちは成長していくのです。そのことを意識しているかどうかは別にして、みんなそうやって自分の人生を生きている。そこが人間の偉大なところだと思います。

 とはいっても、憂うつな気分をずっと引きずっているのはつらいから、あなたはぜひ、そこから早く抜け出す方法を身につけてください。それをひと言でいうと、いやなことがあったとき『私』の世界に閉じこもらないこと。

『私』を幸せにしようと懸命なのはみんな同じだけど、悩みが生じたとき『私』の世界にこだわると、憂うつな気分から抜け出せなくなります。「どうして私ばっかり……」「私はいったいどうなるの?」「ああ、もうダメかも」といった考えが頭の中を堂々巡りし、いつのまにか「私の苦しみは他の人にはわからない」と思いはじめます。こうして自分を追い込んで孤立し、最初は小さな苦しみだったものをどんどん大きくしてしまうんです。

 憂うつな気分から抜け出すために、『私』から『公』の世界に意識を向けましょう。私のことばっかりの心を、だれか大切な人に向けるんです。たとえば、失業して生活苦にあえいでいた人は「自分だけなら死んだほうがラクだった。でも、子どものことを考えたら負けるもんかという気になった」。また別の人は「自殺したくなったとき、母親の顔が浮かんで悲しませたくないと思ったら踏みとどまった」と語りました。

 もちろん、これは親子に限ったことではありません。あなたが悩むのは自分が成長するためで、成長すれば長年の夢を叶えることができます。夢が叶えば、今はまだ知らないたくさんの人たちを喜ばせることもできるのです。苦しみの真っ只中で最後の気力をふりしぼり、自分以外の『公』の世界に意識を切り替えましょう。

 人間は偉大だと書きました。あなたも偉大な存在です。でもその力は、ひとりで悶々としていたのでは発揮されません。まわりのだれか(家族、友人、専門家など)の助けを借りて力が合わさったとき、あなたには壁を乗り越える力があふれ出すのです。

 悩みの壁は、勇気を奮えば突破でき、その瞬間に消えてしまうもの。そして、このことははっきり言えます。あなたが乗り越えられない壁は、あなたの前には立ちふさがりません。壁はあなたを押しつぶすために現れたのではなく、もっとずっと大きな幸せに導くために現れたのです。だから絶対に負けないで、『公』の世界に希望の光を見出しましょう。

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Last Updated: 2009/10/07