エッセイ
  (更新日:毎月7日)

Vol.05
「自分への質問を変えよう」

Vol.05 「自分への質問を変えよう」

 不本意な出来事や問題にぶつかると、よくこう考えませんか?「いったい私の何が悪かったんだろう?」って。自分を振り返って反省することは何より大事だ!と考えるまじめな人ほど真剣にその原因を捜します。

 それですぐ気づきを得られる場合はいいんですが、気分がひどく落ち込んでいるときや、さんざん考えてもう考え疲れているときに"自分の悪かったところ"を追及すれば、心は悲鳴をあげて投げやりになるのがおちです。

 以前の私がそうでした。なかなか成長できない自分を心の中で責め続けていました。ところが、些細なことをきっかけに転機が訪れたのです。

 お昼にレストランに入ったら、とても懐かしいメロディが流れてきました。「これ、なんていう曲だったかな?」と思ってもタイトルが出てこない。「うーん、うーん、もう少しで出てきそうなんだけど思い出せない…」。かといってそのことばかり考えているわけにもいかず、次から次へと新しいことに追われて曲のことはすっかり忘れてしまいました。

 その夜、帰宅して湯船に浸かっているとき、ふとタイトルが浮かびました。「なんていう曲だったかな?」と思ってから十時間以上経っています。こういうことは前にもあったので、好奇心がわいて脳の特性を調べてみたら大発見!

 脳には、ひとつのことを真剣に尋ねられると『かしこまりました!』といわんばかりに答えが見つかるまで捜し続ける習性があり、あの日「この歌のタイトルは?」と尋ねられた脳は、密かに私の記憶の中をずっと捜し続けて回答してきたのです。

 ここで、私は"自分の大きなあやまち"に気づきました。問題にぶつかると必ず「私の何が悪かったんだろう?」と自問していたこと。その結果、従順な脳は"悪いところ"を調べあげて『ここがダメ』『あれも失敗』と指摘し…それをくり返すうちに、私はしだいに嫌気がさして自分の価値を認めることができなくなっていったのです。

 だったら質問の仕方を変えよう!これからは困ったときも、ショックを受けたときも、頭にきたときも、質問は「それでも私にできることはなんだろう?」だけ。どん底でもうがんばれない。落ち込みすぎて未来のことなんて考えられない。そんなときこそ「それでも私にできることはなんだろう?」と必死に問いかけよう!と決めました。

 すると、うれしいことが起こりました。本人がどんなにめげていても、脳は問題解決の糸口を求めて動き出し、私が取り組めることを見つけてくれるようになったのです。 「それでも私にできることはなんだろう?」と尋ねてすぐ答えが返ってくる場合もあれば、何時間も、何日も待つ場合もありますが、脳は二十四時間アンテナを張りめぐらせて"前に進むためにできること"を捜してくれます。そんな能力を秘めていた自分がいとしくなって、私は見えない救いの手に感謝せずにはいられませんでした。

 それからは、人生に降りかかることをむやみに恐れなくなりました。何が起こっても、それを乗り越えるのに必要な答えは"自分の中にある"と信じられるようになったからです。あなたも今日から自分への質問の仕方を変えてみませんか?

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Last Updated: 2009/05/07