エッセイ
  (更新日:毎月7日)

Vol.03
「幸せの創り手」

Vol.03 「幸せの創り手」

 生まれて初めて自分から習いたいと思った楽器はドラムでした。できることならバンドを組んでドラムを演奏したい…と10代のころ、私は密かに夢見ていたのです。

 でもその夢は、「近所迷惑を考えなさい」「置く場所もないでしょ」「思春期の女の子がとんでもない」と母親の猛反対にあって打ち砕かれ、泣く泣く断念した思い出があります。これが「人生は自分の思うようにならない」と感じた最初の挫折でした。

 それで仕方なくギターを購入してフォークソングを爪弾いたりしていたんですが、しだいに楽器から遠ざかっていき、いつしか音楽は聴くだけの存在になってしまいました。

 ところが、ふと手にした雑誌で『楽器挫折者救済合宿』なるものがあることを知り、すっかり忘れていたドラム熱に火が点きました。"初心者でもプロからあこがれの楽器の手ほどきを受け、3日目にはバンドを組んで人前で演奏する醍醐味を味わえる"と書いてあるではありませんか…。

 人には普段から「あなたが抱いた夢を、夢のまま終わらせないで」「夢は見るためではなく、叶えるためにあるのよ」と語っている私としては、この機会を逃すまいと思い立ち、さっそく申し込んでドラム三昧の3日間を過ごしてきました。

 きりばやしひろき氏の教え方のうまさ、アレンジの妙もさることながら、それに応えようと参加した人たちは真剣そのもの。私も緊張と興奮の中で、それこそ一心不乱に練習に明け暮れました。最後にバンドメンバーと楽曲を発表するという目標があるので、もう死にもの狂いでやるっきゃない!

 その結果はというと、「へたくそでもゴキゲン!夢が叶ってとにかく幸せ!!」でした。ものすごくがんばった自分を素直にほめてあげたいと思いました。また、やればなんとかなるんだという自信を得たことも、ギリギリ感を乗り越えた仲間と一体感を味わえたことも嬉しいことでした。

 この体験を経て、「人生、なんに対してもチャレンジしてみることは本当に大切。でも、そこで自分が本気にならなかったらメッチャもったいない!」と改めて感じたのです。

 手を抜いてゆるーく生きていくことは、一見ラクそうに映るかもしれないけれど、人生がもの足りない、つまらないとぼやくことになりがちなんですね。仕事でも、趣味でも、恋愛でも、ギリギリいっぱい本気でがんばったなら、つまり自分が完全燃焼したならば、必ず新しい世界が開けてきます。

 私たちは、ひとつのことにのめり込んで無我夢中で壁に挑んでいくと、「ほかのだれでもなく、自分が自分の幸せの創り手なのだ」ということを実感できます。そのことを自分の体が教えてくれると言ったほうがいいかもしれません。

 もしもあなたに、やり残したままの夢があったら、たとえどんな些細なことでもその夢を復活させてみませんか。そのことに対するあなたの意識を「あきらめるしかない」から「やり遂げよう」に変えると、実現する可能性がぐんと高くなりますよ。

 なぜなら、一途な思いが"力を貸してくれる人たち"を人生に引き寄せはじめるから。それができる時間が、自分の人生に残された時間なのです。

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Last Updated: 2009/03/07