(更新日:毎月7日)

Vol.10
「やさしさに満ちた心の世界」

Vol.10 やさしさに満ちた心の世界

 泣いている子どもに、つい『泣くな!』と怒鳴ってしまうお母さん。「泣くなと怒鳴っても余計に泣くだけだってわかっているのに怒鳴ってしまうんです。どうして怒鳴ってしまうのか、自分でもわからなくて……」と泣いていました。

 自分がそうしたくてするわけじゃないから、そうしてしまう理由がわからない。わからないから、どうすればやめられるのかもわからない。これでは、怒鳴る側も怒鳴られる側も不幸せになってしまいます。

 実は自分ひとりの世界でも、これと同じような悪循環に陥ることがあるんですね。あなたは、落ち込んでる自分を持て余して「落ち込むな!」と命じたり、悲しんでる自分に「悲しむな!」といって突き放したことはありませんか?

 それで心が晴れることはなかったはず。泣くなと怒鳴られると余計に泣く子どもと同じことが起こるから。さらに自分を追い込んで、自分に対して冷淡すぎる自分に苦しむのがおちだと思います。

 泣けることも、落ち込むことも、悲しみに沈むことも、そうなる理由を汲み取ってほしいという自分の心の声の表れなんです。だから、あなた自身がそれを汲み取ってあげれば、きっと苦痛から解放される道が開けます。

 心というものには"二つの性質"しかありません。広がる(ゆるむ)か、縮まる(固まる)かのどちらかです。心が広がっている(ゆるんでいる)と気分がよくなり、人にやさしくする気持ちの余裕も生まれ、自分が自分であることに満足できます。

 ところが、心が縮まっている(固まっている)と不快になり、攻撃的になって心を閉ざし、自分自身を認めることができなくなります。

 もし自分が「なんとなく攻撃的になっている」と感じたら、自己嫌悪に陥る前に愛をよみがえらせる必要があります。真っ先に固まった心をゆるめましょう。

 もっとも効果的な手段は深呼吸です。心身は一体なので、体から余分な力を抜くのが手っ取り早いんです。鼻息が荒くなってきたら、何はともあれ、深呼吸!

 根源的に見るなら、心を広げるものは"愛(受容)"で、縮めるものは"怒り(拒絶)"です。日頃から「自分の思うようにならないと気がすまない」といった"こだわり=我欲"を少しでも捨てることを心がけてください。そして自分に「どんな私も受け入れる。あるがままでいいよ」といってあげてください。

 すると、切羽詰った心の叫びが聞こえてくることでしょう。『私をダメだと決めつけないで』『人と比べないで!精一杯やればいいといって』といったあなたの本当の声が……。

 私たちの心は、真にやすらいでいたらどこまでも広がっていきます。でもそれは、人から与えられるものではなく、自分を鍛え、育て、懸命に愛を流すことで生まれてくる心の世界なのです。

 そこに行き着くためのキーワードは「ありがたい!」。どんな状態の自分でも、今こうして生かされていることを素直にありがたいと感じられるようになりましょう。そうすれば、やさしさに満ちた心の世界にいつも暮らせるようになりますよ。

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Last Updated: 2008/10/07