(更新日:毎月7日)

Vol.07
「気持ちの伝え方」

Vol.07 気持ちの伝え方

 相手に自分の伝えたいことがうまく伝わらない。そんなつもりでいったんじゃないのに誤解されてしまう。なにをいちばん伝えたいのか自分の気持ちがわからない。――あなたは日常のコミュニケーションの中で、そんな経験をしたことがありませんか?

 特にメールの場合、相手の反応がその場でわからないだけに、あとから不快な思いをしたり困惑するようなことが起こりやすいかもしれません。伝えたいことがうまく伝わらない、伝えたいことが自分でもわからない、といったことがどうして起こるのでしょうか?

 あなたが人に「伝えたいことを伝えること」と、それが「正確に伝わること」は別です。なぜなら、言葉はその人の解釈によって伝わる内容が違ってくるからなんです。まずは、相手の人には相手流の言葉の使い方があることを承知してください。

 たとえば、「少しいやな感じ」と書いたあなたの文字情報を、「少しだけなのね」と解釈するか「そう、いやなのね」と解釈するかは相手しだい。そこで、自分の真意が伝わるように言葉を補足するとか、自分流の言葉の使い方をもっと工夫する必要が出てくるんです。
"うまく伝わった"ということは、"交わされる言葉を共有できた"ということ。私がメッセージブックを書く上でいちばん気を配るのもこの点です。言葉は、伝わらなければ役目を果たせません。なにも考えずにひとりよがりの言葉を放てば、結果として自分が苦しむことになるのです。

 次に、なにを伝えたいのか自分の気持ちがわからなくなる場合について。これは、自分がそのこと(または人やもの)に関して感じていることがわからないと、どんな言葉を選んでもピンとこなかったり、ウソっぽい感じがぬぐえないでしょう。

 そうなる原因の1つとして、「相手に意識を向けすぎてしまうこと」が考えられます。相手の表情や反応を気にするあまり、自らの心に意識が向けられなくなって感情が入り乱れ、自分の気持ちが把握できなくなってしまうんです。

 これを避けるには、普段から心に意識を向けて"自分の気持ちを把握する練習"を積むのがいいでしょう。たとえば、レストランやお店でなにか注文するとき、「今、なにが欲しいと感じてる?」と心に聞いて、声に出して明瞭に答えるようにするんです。

 ところが、心というものは、ちゃんと意識を向けているのに反応があいまいでつかみにくい場合があるんですね。そんなときは、たいてい「好き」と「嫌い」が同居しています。そこで「はっきりしないのはおかしい」と思って「好き」か「嫌い」のどっちかを選ぼうとすると、自分の気持ちがわからなくなります。これが原因の2つ目として考えられることです。

 そこでは、「好きな気持ちも嫌いな気持ちも両方ある」とありのままを受け入れるようにしましょう。それでOKなんですよ。すると心が落ちついて、「両方あって決められないのが今の私の気持ち」と正確に伝えられるようになります。

 自分の気持ちを相手が少しでも理解しやすいように、ありのままの状態を言葉を尽くして親切に伝えること。それが上手なコミュニケーションの秘訣だと思います。

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Last Updated: 2008/07/07