(更新日:毎月7日)

Vol.7
病気の恩恵

Vol.7 病気の恩恵

 私たちはムリをすると病気になります。「病気」は「気が病む」と書きますが、その症状が精神に表れても、肉体に表れても、自分の限界を越えたという事実には変わりありません。

 今どこかを病んでいるあなた、それはもう起こってしまった出来事です。これ以上、自分を痛めつけるのはやめましょう。あなたがどんなに悔やんでイライラしても、嘆き悲しんでも、広がるのはダメージばかりで心身は少しもラクになりません。

 病気は、すでにあなたの一部になっています。それを敵対視することは、これまでがんばってきた自分と、今つらい思いをしている自分を否定して認めないことになります。それは"自分を愛さない"ということ。これではわざわざ病気になった意味がありません。

 私は『人生には必要な出来事しか起こらない』といい続けていますが、その視点でいうと病気は"啓示"だと思っています。あなたの心身は、悲鳴をあげながらも啓示を受けとろうとしているのです。

 それは「これまでと違う生き方をしなさい」「しがみついていた価値観を放しなさい」というメッセージに他なりません。言い方を変えれば、「もっと安らいで生きられる方法」や「まだ知らない幸せがあるよ」ということです。

 もし、それを実感できたならば、病気は"ありがたい体験"に変わるでしょう。でも普通は、病気になったせいで仕事はできなくなるし遊びにもいけなくなって、痛い、苦しい、情けないという状況に追い込まれ、葛藤を起こします。

 この悲痛な葛藤は、価値観を変えるまで続くでしょう。価値観とは、幸せの定義です。つまり、これまでさして大事にしてこなかった人や行為について、あなたは反省を求められているのです。

 病気に抵抗する気力や体力を失ってから反省するより、少しでも早くはじめてください。反省すれば、病んだ自分に対して慈悲の感情が芽生えてきて、少しずつ愛をとり戻せるから。そんな中から"気づき"は生まれます。

 特別なことは何もなくても、ちょっとしたことに感動する自分や、小さな親切に感謝がこみあげる自分がよみがえって、そのとき"本当の幸せ"を知るんです。そこで味わう安堵感は、体験したものにしかわからないかもしれませんね。

 私の場合は、病気の自分もまわりの人も、花も木も、ゆったりしたときの流れも、すべてをいとしく感じました。そして、「かたくなに生きてきた自分を解放しよう」と自然に思いました。

 あなたが今どんなにつらくても、「自分にはいいことが起きている」と信じてください。「この身を神さまに委ねよう」と覚悟してください。「病気が回復したら喜んで違う生き方をする」と誓って治療に専念してください。

 今つらい思いをしているのは、未知の幸せを手に入れるため。人の価値観で生きてきた自分から、本来の自分に戻って生きていくためなのです。だから、しょぼくれてないで顔をあげて。

 私たちにとって重要なことは、「どれだけ生きるか」ということではなく「どう生きるか」ということです。人生でそれを見直す最高の機会を、あなたは与えられたんですよ。

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Last Updated: 2006/07/07

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