もし、あなたが「失敗しないように仕事したい」「失恋しないような相手がいい」「ふしあわせにならないように生きたい」と思っていたら、それは「トシとらないように生きたい」と願うことと変わりません。
失敗、失恋、ふしあわせ、老い……私たちは、つい「避けたいもの」を念頭において生きがちですが、それが「ままならない人生」のはじまりになると知っていますか?
仕事ひとつとっても、「失敗しないように仕事しよう」じゃなくて、「自分の力を大いに発揮しよう」とか、「失敗から学んで、どんどん力をつけて成功しよう」という姿勢で臨めば、まったく違う展開になっていくでしょう。
恋愛も同様。「失恋しないような相手がいい」じゃなくて、「運命の人は、自分を最も成長させてくれる人」、「恋愛の価値はプロセスにあるんだ」と信じて、打算やかけ引きなしで一途に身を投じれば、はるかに幸福な恋愛ができることでしょう。
どんなに自分を勇気づけようと思っても、「〜ないように」というネガティブな発想から言葉をつむぐのは逆効果なのです。それだと、あなたが本来もっている「成功する力」や「幸福になる力」を発揮できません。
そんなときは、発想=言葉のボタンをかけ直したいもの。実は私も、人生の大きな課題にぶち当たってボタンをかけ直しました。
それは、自分の体力や記憶力、容姿の衰えを実感するたびに気が重くなって老化をおびえ始めたことです。頭では「だれでも必ずトシをとる」とわかっていても、感情が勝手に拒絶反応を起こしはじめました。
私は、このままトシとっていくことを「イヤだ。認めたくない」と抵抗していたら、自分を愛することも喜々として生きていくこともできなくなる…と感じて、思い切って発想を切り替えました。
「トシとっていくのはいいことだ。トシを重ねた分だけ味わい深くなっていく人生を、もっと楽しまなくちゃ。今の自分にしかできないことをたくさん見つけよう!」って。
どんなふうに過ごしても、なにを考えていても、今というときは流れていきます。そしてもう二度と帰ってきません。考えれば考えるほど、自分に残された貴重な時間をニコニコワクワクして生きたいという思いがあふれます。
自分が知らないうちに握りしめていた恐怖を手放してみると、「いいトシの重ね方」が自然にわかって今だからできること″をたくさん見つけました。それをつづっていったのが『いつでもいまが出発点』(幻冬舎刊)です。
人生は、そのトシになってみないとわからないことで埋め尽くされています。あなたが、それを最大限に楽しむことができれば、生きていくことはそれだけで充分おもしろいと思います。
ちょっと疲れ気味のあなたを、きっとこの本が元気づけて、明るい人生をナビゲートすると信じています。