昨今の子どもたちの事件や動向に、幼くして傷ついた胸のうちを垣間見るようで、とても心が痛みます。なんとかして子どもたちにメッセージを届けたい。そんな思いにかられて、一冊の本を書きました。
6月11日に〈主婦と生活社〉から発売される新刊、「こっちを向いてごらん」です。
もっと自分をわかってもらえたら…もっと自分を正直に見せられたら…だけど、自分を開きたくても、どうすればいいのかわからない。逆に、反発して心を閉ざしても、いろんな思いが押しよせてきて苦しくなる…。
これが、追いつめられて行き場を失った10代の「惑い」だと思うのです。
さみしいとき、かなしいとき、つらいとき、くるしいとき、ムカついたとき、そうした感情にふりまわされないで、この本のページをめくってみてください。ゆれる自分(不安定な自己)が、きっと落ち着きをとり戻すことでしょう。
またこの本は、傷ついた子どもたちと生きる、おとなたちに向けたメッセージでもあります。親や先生が、子どもの気持ちをくみ取って、少しでも子どもたちを励ます材料を見つけてもらえれば嬉しく思います。
現代の子どもたちは、おとな社会の犠牲者ですが、それで片付けられる問題ではありません。この子どもたちが、じきにおとなになって社会のつづきを創っていくのですから、とても深刻です。
もし、子どもたちが自分を愛することを知っていたら、自分のいのちの尊さをわかっていたら、きっと、人に対しても素直に愛をあらわし、自分と同じ小さないのちを尊ぶはず。
もし、子どもたちが大自然とのつながりを感じられたら、自然界のものと自分とは「別もの」ではなく、「ひとつ」という意識が芽生える…と信じています。
本当に大切なことを、私たちおとなができる限り伝えていきましょう。
「こっちを向いてごらん」まえがきから
あなたを閉ざしている「こころのトビラ」は、いくえにも重なっていて、
ありとあらゆる感情をおおいかくしています。
そうした感情の波が、時と場所を選ばないで勝手におしよせては、
あなたを困らせているんです。
いろんなおもいがつまっていて、こころはかなり複雑だけど、
しあわせに必要なおもいも、ちゃんと秘められています。
それは、こころのいちばん奥にあります。
あなたがそのトビラを開ければ、新しい自分が飛び出してくるでしょう。
「こっちを向いてごらん」と、新しい自分が呼びかけています。
さあ、こころのトビラを、一枚一枚あけていきましょう。