赤ちゃんが、原因不明で突然呼吸をしなくなって死にいたる「乳幼児突然死症候群」という病気をご存知でしょうか?
私の絵描きの友人は、産院に出向いてデッサンしてきたばかりの赤ちゃんが、その夜突然亡くなったと聞いて大変なショックを受けていました。わずか3日間しかこの世にいなかった赤ちゃんと半日を過ごし、その子の生きた証を絵に残したのです。
それは彼女にとって、人の世のはかなさと母親の胸中をおもんばかって涙する悲しい出来事になりましたが、彼女は目を泣きはらしながら、「今回のことで強く自覚した。どんなに貧乏しようが、今度こそこの仕事を続けていく覚悟ができた」と語りました。
私は、その子はすごい役目を果たして還っていったんだなあって思いました。たぶん、彼女に描いてもらうのを待っていたのでしょう。その結果、お母さんに自分の肖像画を残したけれど、そういう3次元的なことじゃない"深い気づき"を、ひとりひとりの胸に残していったのではないでしょうか。
魂レベルでは、お互いがそんなふうにしてかかわっているという気がするのです。そのお母さんは「どうしてあの子が…どうして私が…」というつらい感情を乗り越え、妊娠してからお乳を与えた3日間の体験のすべてを愛で受け止めたとき、その子によって"生きる意味"を教えられるのでしょう。
私の友人は、絵描きとして本腰を入れることに今ひとつ踏ん切りがつかないでいましたが、今回のことで、生きていることの重さや人の役に立って生きられることのありがたさを、理屈を越えて強烈に実感したようです。
私たちは、社会的な立場や事情を考えてものごとを判断するのが通常ですが、ともすれば、社会的な立場や事情に飲み込まれて"本当はとても大切なこと"をないがしろにしているかもしれません。
その大切なこととは、『あなたが一番したいことで、どのくらい人を喜ばせることができるか』を真剣に考えることです。それができるのは生きているあいだで、それが愛に生きることではないかと思います。
もしかしたらあの赤ちゃんは、それを縁ある人たちに知らせたくて、3日間だけ地球に降り立った尊い存在だったのかもしれませんね。
こうして今生きている私たちひとりひとりと、魂との深いかかわり。そこに「生きている理由」が秘められているような気がします。あなたが生まれてきたわけは、あなたの"タマシイ"がきっと知っています。
何度も生と死をくり返している魂と、あなた自身との深遠な物語。それをテーマに1冊の本を書きあげました。あなたは、何のために人として生まれ、どこへ還っていくのか…この中から、ぜひ生きる意味を感じ取ってもらえればと願っています。
興味がわいたら読んでください。『あなたを生きて』(徳間書店)