「楽しい」ことのはじまり   

Vol.1

 今年は楽しい年にしたいなぁって、あなたは思っていることでしょう。はたして本当に“楽しいこと”とは何でしょうか。それを「楽しい」の語源から見てみましょう。

 赤ちゃんが、お母さんのおなかの中ですくすくと育って大きくなると、手足をのばして「伸び」をはじめます。そのときお母さんは、我が子の元気な動作に歓喜することでしょう。そんな赤ちゃんの手を伸ばす様子から、「手のばし」→「てのし」→「たのし」→「楽しい」と音が変化して「楽しい」という言葉が生まれたそうです。

 大きく伸びをすることは、“いのちの躍動”を意味します。昔の人は、いのちを活き活きと謳歌するさまに「楽しい」の根源を見たのですね。なんてすてきなんでしょう。

 もしかしたら現代人は、この本来の楽しさを忘れてしまっているかもしれません。そこであなたも、自分が喜びに満ちて「今生きてる!」と実感するのはどんなときかを一度考えてみませんか。

 陰で誰を泣かそうがおかまいなく自分が得したときや、何かを命令通りロボットのように繰り返してほめられたとき、はたして本当に楽しいといえますか?バカ騒ぎしてうさをはらしたり、思いっきり誰かの悪口をぶちまけたとき、すっきりしたといいながら本当に楽しいでしょうか? 

 いのちが躍動する楽しさは、そういったところにはないと思います。私たちが心から「楽しい」と感じるのは、新たな発見や感動に心がときめいたり、心身がうるおって真から安らぎに浸るときなのです。

 もし、今年こそはそういう楽しい人生にしたいと思ったら、あなたのいのちが躍動するようなことをはじめればいいんですね。それは間違いなく《あなたの大好きなこと》で、《いつかやってみたかったこと》です。

 そのとき、『どうせできない』とか『やってどうなる』といった勇気をしぼませるような考えが浮かんだら、いったん横に置きましょう。打ち消そうとして葛藤を起こすと返って苦しくなるので、シカトするのが一番。なぜなら、それはこれまでの癖になっている思考回路で、いったん新たな行動を起こせば自然消滅していくからです。

 また「楽しい」という字は「楽」(らく)とも読むように、心が「楽チンなこと」。楽しい動きは、心にとって無理や嘘といったストレスのない楽な状態です。不安や怒りをかかえてそれゆえに行動する場合と比べれば、その違いがはっきりわかるでしょう。

 あなたの日常において、動いているとき(=いのちが躍動するとき)が「楽しい」状態で、静かなとき(=何もしないで休んでいるとき)に心か「楽」であればいうことなし。その二つをうまく組み合わせて生きることが、人生をいつも楽しく過ごすコツなのです。

 これまであなたを苦しめてきた損得感情から脱して、あなたのいのちを躍動させるような「楽しい」ことを真剣に探してください。もし見つけたら、まわりの人に対する遠慮や罪悪感はまったく必要ありません。躊躇しないで実行に移しましょう。まずあなたが楽しく生きなければ、まわりを楽しくすることはできないのですから。 

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Last Updated: 2003/01/03

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