Vol.7

地に足をつけて




 私は、目に見えない心の世界を扱っていますが、みなさんが心のことを研究する際に気をつけていただきたいと思うことがあります。それは、どういう姿勢で臨むかということです。

 ともすれば即物的になりがちな世の中で、目には見えないものに価値を感じて探求しようとする心意気はとてもすばらしいと思います。なぜなら、それなくして、自分を知ることも人間を理解することもできないからです。

 興味を抱いた人の中には、知識だけではなく、瞑想やワークといった実践に多くの時間を費やしたり、あるいは霊性を高めるというグッズを集めている人もいるかもしれません。私も、そういったことに夢中になった時期がありました。それ自体にワクワクしたし、精神世界について心置きなく語れる仲間が増えていくことも喜びでした。が、問題はそこから先なんですね。

 そうして得た知識や体験を、実生活にどれだけ活かして生きていくかということです。概念の世界にのめり込んでよしとしてしまうと、いわゆる"精神世界おたく"になって、そこを社会生活の不満を埋める避難場所にする恐れがあります。

 すると、現実社会で血まなこになって働く人たちを下に見るような意識が出てきたり、あるいは、必死になって労働することがばからしく思えてやる気をなくすという現象が起きてきます。そうならないように、自分自身やまわりをよく見て『それではおかしいんだ』という自覚を持ちましょう。

 私たちは肉体と精神と魂から成っていますが、あなたを活かす方法を野球に例えていえば、バッターという肉体は、監督にあたる魂のサインに従って出塁=社会貢献することに意味があります。身と心がバラバラのために、三振して世間に背を向けていると、使命を果たすことも叶わなければ生きる醍醐味も味わえません。

 肉体は具体的なものですが、それをどういう意識で何のために使うかを決めることはスピリチュアルな行為です。だからこそ、肉体と精神と魂の3つが"ひとつ"になって三位一体で生きられると、人生に迷いがなくなるんですね。

 自分を活かすために必要な主役は「知恵」で、「知識」はあくまでも脇役。そうでないと、知識がなければ高い精神性は得られないことになってしまいます。価値があるのは、あくまでも知っていることではなくて実践できていることです。

 実践の前段階として学ぶのはいいのですが、知識に頼りすぎると頭でっかちになって、実が伴わないということになりかねないので気をつけましょう。幸福について、語るばかりで味わえない人生ではつまらないでしょう?

 だから、そういう人には、一度知識を置いて『知っているぞ』という自分を捨てるように提言しています。肉体と精神と魂のバランスが、その人のかなでるハーモニーです。美しい音色こそが、あなたの存在そのものであり妙なのです。







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