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Vol.10 怒ることができない…

From ぷれさーじゅさん

もうすぐ20歳になる二人姉妹の長女です。私は幼いころから人ともめるのが嫌で、言われたことを否定することができません。また見捨てられることが怖くて反発することも怒ることもできません。だから、本当は嫌でも、けんかになることを恐れて相手の言うことを無理して受け入れてきました。例えば、親が『この人ならきっと仲良くなれるから』と言って知り合いをつれてくれば明るく振舞い、『あんたにはこれが合ってる』といわれた服を選び…でも、どんなに頑張っても限界はやってくるようで、もう疲れてしまいました。だけど、やっぱりもめ事になったり見捨てられるのが怖くて、親や友人に本音を話せずにいます。どうしたら、もっと本音で人と付き合えるのでしょうか?
カウンセリングメッセージ

 あなたは、だれのためにどんな自分でいようとしているのですか?これだけはおぼえて置いてください。あなたが真実のあなた″でいようとしない限り、今抱いている違和感や疲労感が消え去ることはありません。

 人生とは、「自分はどういう人間になるか」を選択し続ける旅です。そのためには、まず今の自分を知ることです。「本音」に耳をかたむけ、今の自分に目覚めて真実をごまかさない姿勢が必要です。

 成長のプロセスをいいますね。一般に「自分に目覚める」第一歩は、子どもを思い通りにコントロールしようとする親に反発を覚えるところからはじまります。だれにでも親の意見を自分の意見として生きている時代があり、それを卒業するときがやってくるのです。

「私はこうしたい」と親に逆らって自己主張しようとします。それが幼稚なうちは単なる「わがまま」と受けとられても、成長するにしたがって親を「納得させたり説得できる」ようになっていきます。

 次の段階が友だちです。同世代の友だちに一体感を抱いて親世代に対抗していた時代を経て、友だちの中で区別化された自分、つまり「自分らしさ」を模索しはじめます。その結果、「私はひとりの人間。私は私」という自己認識に目覚めるのです。

 すると、その私の感性=本音を表現しないではいられなくなります。それがまわりに受け入れられることで自分に自信を持ち、ようやく自分が思い描いた人生を生きられるようになっていくんですね。

 だれだってもめ事はいやです。でも、人に迎合しながら不誠実な生き方を続けるほうがもっといやだと思います。それは結局、自分や相手を心の中で裏切っていることと同じだから。

 あなたが、本音で友人や未来の恋人と語り合いたい、本気で思い通りに生きてみたいと思うなら、今こそ「勇気」を持つことです。勇気こそが自愛。一時的に生じる人間関係のアツレキを恐れないで、自分に正直になりましょう。

 また、あなたは怒りをため込んでいるようですね。タイトルに〈怒ることができない…〉と付けていることからわかります。たぶん、自分を息苦しくする親と、自分の本音を押さえつけている自分自身に怒っているんだと思います。

 その怒りを、新たな行動を起こす起爆剤にしましょう。人生に疲れたからといってあきらめたり、偽りの世界に甘んじないで、怒りのエネルギーを勇気に変えて真実の自分″を生きてください。

 あなたがあなたを見捨てない限り、だれもあなたを見捨てません。あなたが潜在的に恐れているのは、実は「他人の反応」ではなくて、他人がどんな反応をしても「自分を愛することができるかどうか」なんです。

 親があなたの人生を代わりに生きることはできません。あなたの人生は、あなたが切り開いていくしかないんです。

 今のあなたには、結果よりもプロセスが大事です。あなたの素直な自己表現は、流動的な他人の評価よりもずっと重いんですよ。これを機に、他人の評価にすがって生きる自分を卒業しましょう。

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Last Updated: 2005/10/17

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