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Vol.5 ケガをして

From かすみさん

ケガをして、病院で「もう部活で走ってはいけない」と言われました。私は本当に走る事が大好きでした。だけど、もう部活をしてはいけないんです。ずっと走る事だけを考えて今までやってきたのに、走る事を取られるなんて考えたこともなくて涙がとまりませんでした。走れなくなった事、これからもう走れない事、一緒に頑張ってきた皆と部活をやれなくなった事が悲しくて、涙がとまらなかったはずが…今は何とも思いません。何が悲しかったのか忘れてしまいました。すべてに何も感じなくて、「もう疲れた」という事しか思いません。何も疲れるはずないのに…。もう自分の気持ちが分かりません。
カウンセリングメッセージ

 一瞬で希望の光りが消えて、目の前がまっ暗になる体験をしたんですね。あなたにとっては、部活でみんなと走ることや、自分のチャレンジとして走ることが「生きがい」だったのでしょう。

 それを突然、人生から奪い取られたために、悲しみが大きすぎて、一時的に何も感じない状態になっているんだと思います。

 というのは、私たちは、あまりに強いショックを体験すると、精神的に耐えられない場合は心が壊れてしまうので、それを避けようとしてある本能が働きます。すると心を、一時「痛みを感じない状態」にします。それが、あなたのいう「すべてに何も感じない」状態なのです。

 これは、ひどいケガをしたときに、痛みが極限に達すると意識を失うのと同じ作用で、自分を守ろうとする「心身の安全装置」のようなもの。ただし、内容を選び出すことはできないために、すべての感覚機能を停止させることが起こります。

 だから、抜け殻のようになって、心身には「疲れた」という感覚しか残りません。けれども、そうすることで、限界まで張り詰めた心の糸がちぎれてしまわないように救っているんですね。

 人生で、あなたと同じような体験をした人はたくさんいると思いますが、そのときの自分の状態が理解できないと、立ち直るのに余分に時間がかかってしまいます。そこで、大切なポイントをお伝えしましょう。

 ショック状態に陥っても、「自分がすべてに何も感じなくなったこと」を不思議に思わないでください。まず必要なことは、心を休ませてあげること。ケガを負った動物が、傷がいえるまでじっとして動かないように、その自分を、責めたり悔やんだりしてあせらないことです。

 次に、「自分はどうなるんだろう?」という不安が浮かんでくると思いますが、不安を相手にしないことです。あなたは知らなくても、その出来事は「人生の転機」として起こりました。新しいことを始めるために、それまでのことが終わったのです。

 つまり、新しい自分が生まれようとしている…それを暖かく″迎えられるように、心の準備をしましょう。まだ悲しみが尾を引いていたとしても、まだ新しいことを始める気にならなかったとしても、「そのときが来ると信じて、それまで待とう」と思えるようになることが、心の準備です。

 言い方を変えれば、なにがあっても希望をなくさないこと。希望さえあれば、人生はいくらでも喜びを見い出せます。あなたの希望を「これだけしかない」と制限しないでください。希望は無限だから、生きる力になるのです。

「希望」の反対は、「絶望」ではありませんよ。それは「あきらめ」です。あきらめさえしなければ、私たちはいつも前向きでいられるし、強い自分を育てることもできるんです。

 その気持ちが、あなたの夢を支えてくれるでしょう。自分で自分の可能性を封じ込めないで、決して出来事を憎まないで、新しい希望″と出会ってください。

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Last Updated: 2005/06/17

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