もともと人と関わることが好きな人だけに、彼女の受けた心の傷は深く絶望感も強いと思います。その分あせりは禁物ですが、これは本質的に「とき」が解決する問題ではありません。
人間関係で傷つくと、それ以上痛手を負わないように「もう人を信じないでおこう」という思いが働きます。それは「期待して裏切られたら、もう耐えられない」という恐怖からくる防衛心です。
でも、「ずっと、ひとりぽっちで生きたいのか?」と問われれば、ほとんどの人が「NO」と答えるように、普通はじきに「次は自分を裏切らない人に出会いたい」という願望を抱きます。
ところが、依存心が強かったり特に自己確立が未熟な人は、深く傷つくことで「再び信頼関係を築く自信」を根こそぎ奪われてしまいます。すると心を開くのが怖くなって、心を通わせるという願望そのものを封じ込んでしまうのです。
その後も"信じる対象"をいっさい持とうとしなければ、つまり自分から愛のエネルギーを循環させなければ、ときが流れても心は傷ついたままです。傷ついた人が立ち直れるのは、再び自分から「人を信じよう」と決めたときなのです。
例えば、動物と触れ合うことで心の傷は軽減できても、男性不信を乗り越えようとすれば、最終的に触れ合う対象は男性である必要があります。
今彼女に必要なのは、あなたの真心と、「今度こそ信じられる」と彼女が感じられるまでの時間だと思います。それを得れば、彼女は男性不信からも人間不信からも脱して希望をよみがえらせることができるでしょう。
そこであなたがすべきことは、まず言葉に頼るのをやめること。言葉で気持ちを伝えていい返事をもらうことへの期待を、今すぐいっさい捨てることです。
こうすれば真心が伝わるだろうとどんなに知性を駆使して話しても、心を開かせるのはむずかしいはず。けれど言葉を越えた愛ならば、彼女の感性が受けとめる事実だから確実に伝わっていきます。
次に、あなたが今の彼女に満足する心を持つこと。彼女という人を否定しないことが愛です。あるがままの自分を受け入れられることで、彼女の心は自然に溶けていくでしょう。
今あなたは彼女を救いたいと思っていますが、彼女に愛を与えることによって「自分を育てる」というとても大きな機会を手にしています。いわば無償の愛のレッスン。それを充分自覚して、彼女に感謝こそすれ、これじゃダメだなんて思わないことですよ。
その一方で、原因のないところに結果はありませんから、彼女が親しくなると裏切られてしまう要因は、実は彼女自身にあることに気づけば、今度こそ強い絆を結ぶことができると思います。
それをあなたが冷静に見ていて、彼女に心の準備ができたとき、いっしょに進めるように手伝ってあげられたらいいですね。それがパートナーとしての第2のステップになることを知っておいてください。