自分の胸のつっかえを、感謝できないことにあると気がついたことはすばらしいと思います。それだけでも、あなたは次に進む準備ができたということなんですよ。
私たちは、「一度、自分が腑に落ちたこと」を人生に取り入れるのは容易ですが、「納得できていないこと」や「頭だけで理解したこと」を取り入れようとすると、空回りするばかりでイヤになってしまいます。
まずは、あなたが後ろめたさを感じる前に、なぜそうなっているのかを心から理解しましょう。その理由と解決法が腑に落ちれば、自然に心が解放されて「素直な感謝」ができるようになりますから。
「なぜ人に感謝することが怖いか」という問題は、「なぜ人を愛することが怖いか」という問題と同じです。あなたにはそう思い込んでしまうような出来事があって、それ以来、深く傷ついたままになっているんですね。
例えば、あなたが幼いとき、だれか(両親の場合が多いのですが)に感謝という愛を渡したくて差し出した。喜んでもらえると期待していたのに、結果は予想外に終わってとても落胆したという経験はなかったでしょうか?
きっかけは小さなことでも、無意識に引きずることで大きな心の傷になっていきます。出来事としては大したことじゃなかったり、相手にたまたまゆとりがなかっただけ、ということでもいいんです。原因がわかれば、自分の体験そのものを許すことができます。そうすれば、自然に癒しが起こります。
あなたは、本当はとても人を愛したいし、また愛されたいと思っているから苦しんでいるのでしょう。でも、愛する(感謝する)ことを怖がっている自分に、愛される(感謝される)資格はないと、心のどこかで線を引いてしまったんだと思います。
もし、ここまで読んで自分に当てはまっていると感じたら、自分が傷ついた過去の体験をかみ締めて、それから許しましょう。「もう、思い切り感謝を表わしていいんだ」という現実を認めてください。
これまであなたは、自分の心に人が踏み込んでくるのが怖くて、心を閉ざしていたと思いますが、これから先は違います。堂々と人に感謝をささげ、人から感謝される(愛される)ことを受け取っていくのです。
ただし、感謝される(愛される)ために感謝しよう(愛そう)とすると苦しくなります。それだと、愛ではなくなってしまいます。感謝する(愛する)ときは、「あげっぱなし」ですよ。
もう一度いいます。まず無意識の恐怖から自分を解放して、次に「過去にとらわれないで、新たに人と触れ合う」ことを改めて決意し、「自分が意識して心を開き、感謝を伝えていく」という選択をするのです。
これからは、あなたの新しい選択によって、あなたの行動が決まっていきます。それによって、これまでとは別の人生が彩られていきます。感謝をささげるのは人を喜ばせるためではありません。それは、自分を深く愛するという行為なのです。