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「今回は、20歳代 女性 学生のパヴェさんからよせられた内容です。」

Vol.12  「ほんとうにほんとうに辛いです。」

From  パヴェさん

留学2年目です。留学という目標があったので何とか頑張ってきましたが、渡米して大学のある町のあまりの田舎さと、地元の人の排他的な態度、上手くいかない恋愛のせいで、笑えないほど憂鬱感がひどくなりました。誰を見ても「皆私よりも幸せそう。私は世界で一番不幸だ」と思うようになって…自分が本当は不幸じゃないのはわかってるんです。身体に障害があるわけでもない、愛してくれている家族がいて留学する余裕もある。でも、不幸だって思っちゃうんです。不幸じゃないのにそう思う自分が更に嫌いになっていきます。私は長い間彼氏もいなくて田舎の大学で勉強しかしてない。彼氏といちゃいちゃして遊んでる日本の友達が羨ましい。あんなに留学に憧れてがむしゃらに頑張ったのに、日本の友達を羨ましがっている自分に自分が一番失望しています。誰とも話したくなくて部屋にいることも多くなりました。精神科の病院に通っていますが、薬をもらうだけ。最近は「誰に言っても無理なんだ、いつも友達と笑っていた私はもう二度と戻ってこないんだ」とすべてに諦めが出てきました。でも、やっぱどこかで「いやだ!一生こんなの嫌だ!」と思います。どうしたら、私は昔の様に戻れるでしょうか?アドバイスお願いします。

 

カウンセリングメッセージ

 かつて、私もアメリカに留学して半年たったころ、まったく理想と異なる現実に泣きました。孤独にさいなまれて、日本のみんなのことが気になって羨ましく振り返った時期がありました。でも、そこからが本当の始まりだったと今では思います。

 留学は、めざして励んでいるときは夢だけれど、手に入ればきびしい現実に直面します。だって、まったく文化も言語も異なる地にひとり乗り込んで、それを理解するという大仕事をするのだから。

 アメリカのことを知れば知るほど、私は日本のことと日本人気質についてより深く理解していきました。それが、日本人として生まれた自分を知っていくプロセスになった気がします。

 その視点から見れば、「地元の人の排他的な態度」は、島国育ちのあなたの排他的な態度の写しだし、「田舎」を嫌っているのは、刺激がほしいのに何もしないあなたの心を投影しているに過ぎないと感じます。

 この現状を人のせいにしている間は、あなたの目が日本や過去に向くのは当然。でも、こういう状態を続けることは、本来のあなたが望んでないからつらくなってるんですね。

 これはちっとも不思議なことじゃない。むしろ、ひとりぼっちでがんばってきたあなたの勲章ですよ。ただ、これからどうやって復活していくかという課題が目の前に転がっているだけ。

 きっとあなたの深い部分では、このプロセスを体験したくて、それを乗り越えてたくましくなろうとしてアメリカにきたのでしょう。だからこそ、苦労した留学経験は、社会に出てからとても生きてくるのです。それがわかるときが必ずきます。

 あなたの中で「不幸じゃない」と考える自分と「不幸だ」と感じる自分がいて、考えることと感じることがバラバラだと憂鬱になります。すると、どんどん自分を認められなくなって、ついにはどうしていいかわからなくなって逃げ出したくなります。

 悲しいときは素直に泣けて、ありがたいときは感謝でいっぱいになれたら、人は不幸ではありません。その逆に、悲しいのに泣いてはいけないと自分を制したり、泣いた自分を責めたり、あるいはありがたいとわかっていても、実際に熱い感謝がこみ上げてこなければ幸福感はありません。

 あなたは頭のいい人だと思います。でも、聡明な人ほど、考えすぎてシンプルに生きるのがヘタクソな傾向があります。「〜のはずなのに」と考えるばかりで、自分の思考に朝から晩まで縛られてものすごく不自由になるから。

 シンプルとは、目の前のことに夢中になって生きること。なんだって思い切り感じて、そういう自分をおもしろがって生きること。そこに生きる醍醐味があります。あなたは、どれほど自分が今自由なのかを見てないし、喜んで感じようともしてないようです。

 日本のしがらみの中に暮らしていたら体験できない世界と自由、それがどういうものかを正確に伝えようとしてください。その感性を文字にしても絵にしても音楽にしてもいい。そこで自由にはばたく自分に出会うことを、これからの目標にしてください。

 そんなチャンスをやっと手にしたあなたを、もっと心から慈しんで応援してあげて。

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Last Updated: 2003/10/17

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