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「今回は、20歳代 男性 会社員のロミさんからよせられた内容です。」

Vol.11  「障害者と健聴者の恋愛」

From  ロミさん

 私は聴覚障害者です。両想いで結ばれ交際している彼女がいて、一月に両親を紹介され「交際するのはやめろ!」と云われました。「障害者だから。普通の人より苦労するから。資格がないから。一流大学でないから」と散々云われ、これまでにないショックを受けました。優しさだけが取り柄ですが、彼女と交際してからはいろんな資格に挑戦しています。一流大学ではないけれど、自分のしたい事があったから受験もしました。それを全部否定された気分でなんともやり切れません。人間は中身が、信じる事が、思いやりが大事で、今の私じゃダメなのか!?と思ってしまいます。自分の親には「自分の人生は自分で決めて、後悔がないように!」と云われて育ったから、自分の親まで否定された気がして…。彼女の親は執拗なまでに"宗教・両親の出身・学歴・兄弟・親族関係"を聞きました。今は彼女の声にも耳を貸さず、彼女は「家出する!」とまで云い出して閉じこもっています。彼女と会う事も許されなくて、もう駆け落ちしかないと思いますが、そんな事ができる自分じゃないです。彼女の親は「障害者の気持ちは理解できません!」と云うんですが、障害者達を侮辱、卑下されてる気持ちがあり、私としては、彼女の両親とは一生かけてもうまくやっていけないと思います。彼女の苦しんでいる様子に胸を痛め、深く傷付けられた状態です。私はどうすればいいのでしょうか。

 

カウンセリングメッセージ

 あなたの心のえぐられた傷が目に見えるようです。でも、負けないでくださいね、自分自身に。

 私は体の障害について、決して特別だとか不幸だとは考えません。体の障害を理由にして、その人が"心の障害者"になったとき、人は不幸になるのです。

 ものごとはすべて中立で、それをどうとらえるかというその人の心が、すべてのものごとの価値を決めます。だから、人生が苦しくなるのは、障害のせいではなくて、障害のせいにして自分が卑屈になるときなんですね。

 たとえ体に障害がなくても、世の中には両親の価値観との違いや、理想と現実とのギャップに悩み、死にたくなるほどの不幸感を味わっている人は大勢います。健常者も障害者も、その意味で心の仕組みはいっしょ。 

 どの苦しみも当事者にとっては絶大で、本来苦しみに上下はつけられませんが、私は「その人に乗り越えられないようなハードルはない」と信じています。ギリギリで乗り越えられるハードルが常に用意される。それが人生だから。

 それを乗り切るか、その前でへこたれるかはあなたの自由だけれど、それが人を育て、より大きな幸福を手にするための前段であり、試練です。これから手にする彼女との幸福のために、大きな勇気を持ちましょう。

 娘の幸せを願わない親はないにしても、親の価値観を押しつけることで守っていると勘違いする親は多く、そういう親たちは、娘を信じることも、不幸になった娘を受けとめることも怖がっています。

 いい方を変えれば、自分に自信がないからそうなるのです。どんなときも、ものごとや相手の状態を受けとめるキャパシティは、その人の人間としての器とイコールですから。

 障害者に対する彼女の両親の価値観には、確かにこだわりと偏見があるようですね。あなたのいきどおりはよくわかりますが、かけおちのように、結果的に"両親を痛めつける"ことで決着するのではなく、こんなふうに考えられませんか?

 物理的な条件ばかりに意識がとらわれている彼らに、大事なことを気づかせるという大きな役割りが、もしかしたらあなたにゆだねられているのかもしれません。

 人はだれでも、人生のどこかで変われるチャンスを秘めていると思うでしょう?もし、あなたが彼らを否定すれば、彼らと同じように戦うエネルギーしか生まれないし、自分も大きくなるチャンスを逃すことになります。

 人生で本当に大事なもの、一番大切なものは目に見えません。それは、自分のエゴを置いて相手に尽くす心であり、許す心。つまり愛です。彼らがあなたの中にそんな愛を見い出したら、きっと理解を示してくれるでしょう。

 そのためには、愛という言葉ではなく、あなたの誠意を行動で表わす必要があると思います。方法を考えて、手紙でも何でも両親に対してできることをし続ける。それが、彼女への愛であり、また自分の人生を応援する自愛なのです。

 かなりの根気と気迫と信念がいりますが、決してめげないで。最後の最後に人を動かすのは、いつも愛の力です。それを信じることで、あなたに勇気がわき続けますよ。

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Last Updated: 2003/09/17

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