子供のことに真剣になればなるほど悩みを抱え込んで、あなたはきっと自分流にあれこれ試したけれど、うまくいかなくて疲れてしまったのでしょう。でも、まだひとつだけやっていないことがありますよ。それは息子さんの一番の理解者になることです。
あえて言葉にすれば、「たとえみんながあなたを悪い子だといっても、お母さんはそうじゃないと信じる。あなたにはそうするだけの理由があると思うし、それを誰よりも理解してあげられるのは、あなたを産んだお母さんよ」という態度です。
子供が荒れるのは怒りを溜めているからで、自分のことを誰もわかってくれないという悲しみの表われなんです。だから、めそめそ泣いている子供と心理は同じ。まずはその理由に「わかったよ」と心からの理解を示してあげることが大切です。
ところが、大人は子供の行動に手を焼くと、すぐ正否で判断してとがめたりおどしたりします。だから、子供はますます荒れて態度を硬化させるんですね。このままだと彼の不満はトラウマになって、親にもまわりにも認められなかった自分自身を愛せないで大人になる恐れがあります。
子供の不満の原因は"親の愛に渇望している"が最多です。父親の状況を、頭で納得しても心で受け止められなくて、もっと気にかけてほしいと求めているとも考えられます。それが無意識のうちに嫉妬になったり、暴力的な行為になっているのかもしれません。
これに関しては、父親である夫と話し合う必要があるでしょう。夫は今回叱る役をするのではなく、「お父さんもお前くらいのときはなあ、実は…」というスタンスで語って聞かせる方が効果的です。これはあなたも同じ。
息子さんが求めているのは無条件の愛で、自信をなくして現実から逃れたいと願う母の姿ではないことを肝に銘じてください。あなたがいやになればなるほど、子供の心は孤立していきます。あなたが自分の息子を信じないで、誰が今信じてあげるのですか。
子供は、母親が自分を認めてくれないとか自分のことに困っていやになっていると感じれば、悲しみの裏で反抗心を募らせます。親の愛は伝わらなければ、子供にとってはないのと同じなんですね。子供だからこれでいいという感覚や上からものをいってわからせる意識ではなく、純粋で不器用な同じ人間として接するともっと心が通い合うと思います。
道理はそのあとです。自己形成期の息子さんは、自分は何者でどうしたいのか、どうすべきじゃないのかを学んでいる途上ですから、「親の理解=正しいという承認とは別」ということは落ち着いてきちんと伝えましょう。
ところで、あなたは夫への不満をかかえ、それを抑制しつつ『夫だけじゃなくて子供までが、自分の思うようになってくれない』と苛立っていることに気づいていますか? その不満があなたを追い詰めているように感じます。この機会に、「苦楽をともにする伴侶とはどうあるべきか」を振り返ってみてください。
大変なときに限ってつらいことは重なるものですが、それは『この機会に成長しなさい』というサインなんですね。"逃げるよりこだわりを捨てて前に進む"しか楽にはなれません。大事なのは、自分たちがこの先よくなるために必要な体験を今していると信じる心です。それが自己信頼として子供を立ち直らせる力になっていきます。
どんな事態にも困らないで、恨んでもさじを投げてもいけません。『気づくべきことがあって起きている現実を、素直に受け止めよう』と腹をくくって臨むことです。