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カウンセリングメッセージ

Vol.08 「無言の空間に焦る」

From ちょらさん

うつに悩まされて5年ほど経ち、宇佐美さんのベストな本に出会ってやっと救われました。今では自分の好きなことに対して努力するのが、私の楽しみです。でも、やっぱり気にかかることがあります。前よりはだいぶ自分をさらけ出せるようになったのですが、人と話すことが苦手です。それでもはたからは「よくしゃべるし、おもしろい」と言われるのですが、ほんとは話すことに抵抗があります。人と会う前に話の切り出し方を考えれば考えるほど不安になるし、話が盛り上がって次の会話までの“無言の空間”がものすごく苦手で、間をなくそうとして必死にしゃべり続けます。人と会うことはうれしくても、会話に間ができるのが怖くて…、それが悩みです。どのように改善すればいいでしょうか?

 私も“会話の間”が怖かった時期があるので、気持ちはよくわかります。今振り返ると、「間ができる=シラケる」と勘違いをして、場をシラケさせたくない一心で畳みかけるようにしゃべっていました。結果、私も「よくしゃべるし、おもしろい」と言われましたが、じつは心をすり減らしていた……あなたもたぶんそうだと思います。

 そこには、ポンポンと会話が弾むのが一番いいという思い込みがありました。あなたにもある同じような思い込みを解き放ちましょう。最初に、間は悪者ではありません。本当は、「いい会話=間が生きている会話」だから。間は、言葉以外の方法で会話をしている時間、会話の余韻を楽しむ時間なのです。

 たとえば、笑ったあとに「おもしろいなぁ」と感じたり、耳よりな情報を得て「いいこと聞いた」と喜んだり、体験談に胸を打たれて「いい人だナ」と感動したことがあるでしょう? この“余韻として生じた無言の会話”にもっと耳を傾けましょう。その間にふと感じたことを話題にして会話を盛り上げることもできます。

 これとは正反対の間、「つまらないなぁ」「退屈」「感じ悪い」などと感じる場合もあると思いますが、それは間ができたからではなく、会話の内容が招いたことですよね。もしかしたら、その相手とは馬が合わないのかもしれません。そのくらい気楽に考えて、間を苦手なものにしないことが大事です。

 さあ、「間は有効!」と発想を切り替えて。すると、しゃべり続けること以外の自己表現、たとえば表情やジェスチャーを使って愉快なやりとりができるようになりますよ。私のお勧めは、なんといってもスマイル! 相手を見てニコッとするだけでいいんです。

 相手に微笑みを投げかけることは、「あなたと話しているのが楽しい」「あなたと過ごせてうれしい」というメッセージになるから。これは、今ひとつ話が盛り上がらないときにも使えます。会話が途切れがちでも心からのスマイルを送れば、「私はあなたとこうして過ごせる時間がうれしいんです」という気持ちを伝えることができるでしょう。

 私は今では、間は“相手の気持ちを推し量るタイミング”と思っています。心の耳を澄ますと、相手の気持ちがピーンと伝わってくるようになりました。それを踏まえて次の会話をします。ときには、ただ微笑みを返したり、相手の肩をポンポンとたたくこともあります。

 間を味方につけられるようになって気づいたことは、以前の私は間を恐れてピエロを演じていたということでした。「素の自分でいるより、人に好かれる自分を表現しようとして疲れていたんだなぁ」とつくづく思ったもの。

 あなたは、「前よりはだいぶ自分をさらけ出せるようになった」と書いていますが、その自分は素の自分ですか? 人に好かれるために無理をする自分ではありませんか? 間を作らないでしゃべるあなたがいい(好かれる)とは限りません。素直で正直なあなたがベストなのです。

 もし間ができたら、勇気を出して、「私、この間が怖くてついしゃべり続けちゃうから、それはもうやめようと思って」と告白してみて。相手はなんと言うでしょうか……? そんなやりとり重ねるうちに、きっと素の自分で誰とでも会話を楽しめるようになりますよ。

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Last Updated: 2017/08/17