私たちが満ち足りた気持ちで幸せに生きていくためには、“自尊心”はとても大切です。ここでいう自尊心とは、“自分の存在を認めて尊ぶ気持ち”。俗に、「あの人はプライドが高い」とカタカナで書くエゴ意識とは異なることを知っておいてください。
人が死にたいと感じる理由はまちまちでも、そのとき心の底にあるのは「本当は死にたくないけど、こんな自分にはもう耐えられない」という思いです。そんな思いに耐えて、みんな生きたいからがんばって生きる……。あなたもそうやって、一度は絶望の淵からはい上がったのでしょう。
でも恋愛をすると、心の癖や覆い隠していた恐れがどうしても出てきます。あなたはそこで“自尊心がいつも無くなってしまう自分”に気づき、「もしかしたら、これが不幸の源ではないか?」と疑いはじめたんですね。
まず、自尊心というものに目を向けた自分をほめてください。つらい思いと戦いながら“自尊心”を意識したということは、自尊心を育てる準備があなたの中で整ったということです。これは希望の光です。あなたは必ず生きる力を取り戻せますよ。
では、「自尊心をなくすとどんな気持ちになるか」ということから説明しましょう。自分を嫌いになる、自分をバカにする、自分には価値がないと感じる、将来に希望を見出せなくなる、どうして生まれてきたのかとがっかりする、消えていなくなりたいと思う、自分に自信を持てない……などなど。
すべては「こんな自分じゃダメだ」という自己否定からはじまったのです。これを解決する方法は、「このままの自分でいいじゃない!」と心から思えるようになることです。
「そう思えないからこんなに苦しんでいるのに」という声が聞こえてきそうですが、あなたがそう思えない原因はどこにあるのかというと、それは「人と自分を比べる」ことにあるのです。もし、だれとも比べなかったら、自分を否定する理由がなくなるでしょう。
恋愛がうまくいかないのは、あなたが自分を愛そうとも信じようともしないからです。あなたは自分の存在価値を、恋愛対象から認めてもらうことに必死になり、自分に自信がないためにいつも不安と不信感をぬぐえずにいたのではないでしょうか。
恋人に、自分が愛せない人間を「愛して」と願い、自分が信じられない人間を「信じて」と求めれば、相手はしだいに疲れていきます。それを見て、あなたは不安と自信のなさをいっそう募らせるという悪循環が起きたんですね。この悪循環から抜け出しましょう。
先に、自尊心は“自分の存在を認めて尊ぶ気持ち”といいました。あなたの顔が世界にたったひとつしかないのは、あなたはこの世に唯一の存在だということです。あなたはそのままのあなたとして生きることに価値があって、あなたはあなたでいれば十分なのです。
心が苦しくても幸せでもいいんです。何を思うのも自由だし、自分を否定するのも自由です。でも、今の状態がイヤならば、ほかの体験をしたいと望むならば、まだやってないことをやってみませんか?
それは「このままの自分でいいんだ! 私が私を認めないでだれが認めるんだ!」と開き直ること。そして、自分をだれとも比べず、無条件で愛することなのです。自分はそれでOKな存在なのだとぜひ信じてください。そう信じることで“自信”が芽生え、その自信が、きちんと自尊心を育てるからです。